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なにわの霊媒師

 秋には3連休が何度かありますが、こういうときマネーの世界は要注意です。10月31日金曜日、文化の日の3連休を前に日銀の黒田総裁が追加金融緩和を発表しました。同じ日の夕方、独立行政法人のGPIFは年金基金の運用先として国内国外の株への投資を大幅に増やす方針を発表しました。

 黒田総裁の会見はまだ東京株式市場が開いているうちにあったので、すぐに株価が大きく上がりました。私は血の気が引くのを感じました。実は10月に株価全体が急落していたとき私としては大胆(無謀)と思える数量の株を信用取引で買い立てていたのですが、思惑通りには上がらないのにしびれをきらして1株残らず売ってしまっていたのです。黒田バズーカの2日前に。

 年初からチマチマ稼いだ株の収益全体に匹敵する利益を取り逃がしたショックに私の理性は吹っ飛びました。急騰した株は必ず反落するはずなので市場が閉まる前に相当数の株を空売りしました。ところが月曜日(祝日)東京市場が休みの間にシカゴ先物市場で日経平均がさらに上昇しています。お先真っ暗。火曜日には大損を抱えること必死です。

 1980年代末期バブル絶頂期のころ、なにわの料亭の女将“尾上縫”という実業家・霊媒師・詐欺師がいました。彼女のもとへ長期信用銀行の行員が日参して彼女のご託宣を聞いては投資判断するというおよそ現代社会で信じがたい現象が現実にありました。どんな金融理論も占いには勝てないということでしょう。

 尾上縫事件を思い出した私はなにわの友人に電話をかけました。株などに手を出すやつではなく、堅実な地方公務員をしている若者ですが霊感があって当面の株価の動きをイメージする特技を持っているのです。しばらく沈黙の時間があったあと次のようなお告げがありました。

 「火曜日は上がります。しかし水曜日、木曜日と下げます」

 私は若き霊媒師の言葉にかけてみました。爆上げしたまま火曜日をやり過ごし水曜日を待ちました。すると大きな含み損をほぼ解消するだけ株価が落ち、ただちに決済して黒田ショックの難を逃れることができました。なにわの霊媒師GJ。感謝!

 株で得するのはインサイダーだけです。究極のインサイダーとは安倍政権とGPIFではないでしょうか。

本誌:2014年11.17号 12ページ

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