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連載記事人材育成のタネ 9

社員教育にお金をかけて、倒産した会社はない

  • 竹本幸史氏

 「社員教育にお金をかけて、倒産した会社はない」。これは先日ある経営者からうかがった言葉です。改めて中小企業の人材育成の方法とポイントについて話を聞いていると優秀な社員を採用時ではなく、採用後の育成が重要であるとおっしゃっていました。まさにその通りだと思います。特殊なマーケットにいない限り、どの会社も似たような商品やサービスを扱っています。これだけ物やサービスが社会にあふれている状況で、商品だけで他社と差別化するのは難しいことです。ではどうすればいいのか。“人”で差別化を図るのです。それが圧倒的な顧客優位につながります。中小企業はお金と手間を掛けて社員を教育する以外に、収益を上げ続ける道はないのです。

 人材育成の出発点は、自社でどんな人材を育てるのかを明確にすることが大切です。他社で活用している事例をそのまま自社に当てはめてもうまくいきません。また社員を育成することは、仕事ができる人間を育てるといった単純なものではありません。自社でどのような力を発揮させるかという視点が重要です。そして、「会社は将来的にこうなっていきたい。そのためにはこんな人材が必要になる。だからいつまでにこんな能力を身に着けてほしい」といった長期的な視点も必要になります。ここで重要なのは経営者が目指すべき社員像を明確にすることです。そうしなければ社員は自分の能力をどのように伸ばせばいいか分かりません。また社員自身に自分がどんな人材に育ちたいのかを考えさせることも大切です。

 例えば、社員に3年後の姿を考えさせます。「営業でトップになりたい」「幹部として経営にかかわりたい」などいろいろな理想像が出てくるでしょう。その姿が会社として必要な人材像であれば、そのまま努力していくように計画を立てさせればいいでしょう。ここで大切なのは、成長できるかどうかの責任はあくまで社員自身にあると認識させることです。会社が自分を育ててくれるという意識のうちは、成長スピードは遅く、成長できない理由を会社のせいにしてしまいがちです。社員には日々の業績という目先の成果と自分の価値を高める長期的な成長という2つの責任を認識させる必要があるのです。人材育成とは目先の仕事を覚えさせるのではなく、会社の未来を担ってくれる人間を育てることなのです。

●竹本幸史● 元㈱リクルート岡山支社長。現在は人材育成を主としたコンサルティング業務の㈱SWITCH WORKSを立ち上げ奔走中。くらしき作陽大の非常勤講師も務める。またリーダー養成スクール「法人会員制・定額制ビジネススクール」を開講中。

本誌:2014年9.15号 13ページ

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