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デング熱

 50年前、中学校の保健体育の授業で蚊やネズミが媒介する感染症について一通り習いました。ペスト、日本脳炎、マラリア、つつがむし病、そしてデング熱。恐ろしい病名の割には終戦直後の一時期をのぞいて日本でこうした感染症が大流行したことはありません。

 ところがそろそろ秋の新学期という時期になって、中学校卒業して以来聞いたこともなかったデング熱が突如東京のど真ん中に出現したのには少々驚かされました。

 「教科書に出ていた病気が実在していたのだ!」というのが率直な感想ですが、日を追って感染者が全国に広がり、ついに岡山県でも患者が見つかり、これは要注意だと思いました。

 今のところすべての患者が東京の代々木公園に行ったことがあるという共通点があるのにとどまり、デング熱にかかった人を媒介してさらに全国的な規模で感染が拡大している様子はうかがえません。

 蚊といえば日本脳炎を媒介するコガタアカイエカが有名です。私が子どものころ、家の中にまで入ってくる蚊は例外なくこのアカイエカで、ヤブカは竹藪や林に行かないと見られないものでした。

 ところが今では住宅地でもアカイエカを見ることがほとんどなく、代わって大繁栄しているのがヤブカです。洗濯物を干しに玄関を出るとすぐにヤブカが襲ってきます。

 車に乗ろうとドアを開けると人より先に車に乗り込んできて、車の操作でままならない人間の血を心おきなく吸い込んではショッピングセンターでいち早く降りていきます。小さくても頭のいい連中ですね。

 地球温暖化と活発な国際交流のせいで日本にも簡単に熱帯病が入り込んで定着する素地ができています。マラリアだってそのうち珍しくなくなるような気がします。

 蚊を避けるためにいろんなグッズや薬剤がドラッグストアに並んでいますが、我が家のようなヤブカ大量発生地域では蚊取り線香で受動的に防ごうとしても無理だということが分かりました。私の経験では皮膚に直接吹きかけるスプレーが一番よく効きます。各種愛用しています。

 ヤブカとの戦いが終わるころすでに晩秋。土砂災害のあとはデング熱と災害の多い年ですがたまにはいいニュースを聞きたいものです。

本誌:2014年9.15号 15ページ

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