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2014春節・上海

 2月初めに2泊3日で上海へ行ってきました。中国の旧正月である春節のど真ん中に出かけたのは今回が初めてでしたが大失敗でした。いつもなら定休日などない多くの小売店やレストランが軒並み正月休みを決め込んでいたのです。

 当てにしていた人民広場のレストランは休業中、庶民的な麺類を食べさせる店もほとんどが休んでいました。外資系のコーヒーショップでサンドイッチばかり食べていたら胃がおかしくなりました。

 それでも上海随一の繁華街である南京東路はどこの店も開いていて親子連れ家族でごった返していました。一人っ子の多い中国は子ども天国です。両親と両サイドのおじいさん、おばあさんからいっぱいおもちゃを買ってもらってご満悦。

 地下鉄に乗ると親はまず子どものために席を確保してやるのですが、ドアが開くやいなや降りる人を押しのけて空いた席へ突進し、子どもを座らせるのです。子どもといっても小学校3、4年生ぐらいの年齢の子どもでも当然の顔をして座ります。乗車時間がせいぜい15分か20分でもとりあえず席を確保することの優越観は何ものにもかえがたい誇らしいものであるようです。

 こうした親子の様子は実に微笑ましいものです。家族以外はすべて敵、あるいは競争相手である中国社会で家族の結束ほど大切なものはほかにありません。春節に大変な苦労をして遠い故郷まで超満員の列車やバスを乗り継いで帰るのも、家族や親族に再会して自分の存在理由を再確認するためでしょう。

 しかしながら、家族とのつながりにおいてすべてが成り立つ中国社会では不幸にして家族が崩壊したり、家族から切り離されて孤独に生活している人々の生活はかなり厳しいようです。公的な生活援助や就労援助などないに等しく、農村戸籍の人々は都市では人権すら保証されていません。中国社会では自殺が多く、また精神疾患がある人の率が先進国では考えられないほど高いと聞きます。

 日本のように、とうの昔に大家族制が崩壊した国では国民が孤独に対し免疫ができているうえに、社会福祉の水準は中国人が想像できないぐらい手厚いものとなっています。ホテルの部屋まで花火と爆竹の雷鳴のような騒音が襲ってくるなか、彼らにもよい春が来ることを願いました。

本誌:2014年2.24号 13ページ

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