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Tokyo2020 安倍さんの大芝居

 10年ほど前、当時の東京都知事だった石原さんがオリンピック誘致に名乗りをあげたとき、そんなこと本気で言っているのかと思いました。

 石の上にも3年、いや10年も同じことを言っていれば夢も実現するものですね。

 ブエノスアイレスで行われた最終プレゼンは翌朝録画したものを見たのですが、選考過程が分かりにくく一瞬東京は落選したとだれもが思ったようです。プレゼンする方はどんな些細なミスも許されない雰囲気なのに、選ぶ側は何とずさんなことをやっていることかと思いました。

 今やIOCは地上最強の絶対君主です。各国首脳がまるで就職面接を受ける大学生さながら小さく縮こまっているのですから。

 もともと日本人は“プレゼンテーション”などという芝居がかった振る舞いには否定的な価値観をもっていました。「巧言令色、鮮し仁」という論語の言葉に従って生きてきた日本人。言葉巧みなやつのいうことは信用できない、というほどの意味でしょうか。あるいは「沈黙は金」などとも言われてきました。

 ところが今回のプレゼンでそんなものは美徳でもなんでもない、黙っていたらだれからも見向きもされないという西欧流の価値観を今や日本人がしっかり受け入れ、さらにその流儀で勝てるだけのテクニックを身に付けていることが証明されました。

 いやですねえ。人は服装、持ち物、学歴、自己PR能力で評価されることを認めるなんて。今回の勝利も綿密な戦略をたて、スピーチ・コーチまでつけて特訓していたのですね。

 パラリンピックの佐藤真海さんがつらい経験をスポーツで克服した体験をつたない英語でスピーチしたことが感動を呼びました。しかしあとでイギリス人コーチと徹底したトレーニングを積んだという番組を見て少々白けた気分になりました。もちろん彼女のパフォーマンスはすばらしかったのですが。

 プレゼン最大の立役者安倍総理の「アンダーコントロール」にはひっくり返りそうでした。誰の目にも大ウソなのに、何となく世界を説得してしまった安倍さんは恐ろしい人です。将来戦後最高の宰相だったと言われるかもしれません。「やっぱり巧言令色、鮮し仁だったか」と後で言われることがないよう廃炉問題だけは片を付けてくださいね。

本誌:2013年秋季特別号 14ページ

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