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[知的財産] 実用新案及び特許の対象

鍵を留める部分の構造を工夫したキーホルダーを考えました。このキーホルダーは実用新案の対象でしょうか、それとも特許の対象でしょうか。

A : 実用新案及び特許のいずれにも該当

実用新案制度と特許制度とは、どちらも技術的アイディアに独占権を与えて保護する点で共通します。この技術的アイディアを法律では「自然法則を利用した技術的思想の創作」と規定し、これを実用新案では「考案」と、特許では「発明」( 但し、高度の条件が付加) と呼んでいます。

このように、考案も発明もほぼ同じ技術的アイディアですが、実用新案は「物品の形状、構造又は組合せ」( 以下、物品の構造等)に関するものでなければならないのに対し、特許は全てのものを対象としています。

少し詳しくなりますが、技術的アイディアは、物と方法の2 種類に大別されます。物の例としては、机、自動車、靴、ジャム、化学物質、ペンキ、コンピュータプログラム、遺伝子等を挙げることができ、方法の例としては、ペンキの塗布方法、鉛の濃度測定方法、鋳物の表面磨き方法、饅頭の製造方法等を挙げることができます。さらに、物は、物品の構造等に関するものと、そうでないものとに分類できます( 前述の物の例では、机、自動車及び靴は物品の構造等に関することが多いと思いますが、ジャム、化学物質、ペンキ、コンピュータプログラム及び遺伝子は物品の形状
等に関するものとは考えられません。)。

このように実用新案は、物品の構造等に関する技術的アイディアを対象とするのに対し、特許は、全ての技術的アイディアを対象とします。実用新案の対象は特許の対象に含まれるため、実用新案で出願できる対象は特許でも出願できますが、その逆は成り立ちません。

ご相談の「鍵を留める部分の構造を工夫したキーホルダー」は、「鍵を留める部分の構造」が物品の構造等に関する技術的アイディアと考えられますので、実用新案の対象であると共に、特許の対象でもあります。従いまして、対象としては実用新案と特許とのどちらでも権利取得できる可能性がありますが、両制度は、ここでご説明した対象の違い以外にも大きな違いがありますので、それらも考慮してどちらの制度にするか決めてください。

特許商標事務所
弁理士・所長
笠原 英俊氏
岡山市北区野田2-7-12
TEL086-245-0440

本誌:2012年8.20号 23ページ

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