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使い勝手の悪い介護保険

 介護保険料が新年度から負担増になりました。介護保険制度はこの先どういう方向にいくのかビジョンがはっきりしないままの値上げです。

 介護保険ができたときは在宅での介護を支援するというのが大きな目標のひとつだったと記憶していますが、12年も両親を実家で看ていて、在宅支援のための介護保険サービスの使い勝手の悪さはますますひどくなっています。

 介護保険サービスを利用するにはまずもってケアマネージャーが作成する介護計画表にしたがってサービスが行われます。父(94)は週3回人工透析療法を受けるために自宅から病院まで通っていますが、朝ご飯は家族(と言っても私か兄)が用意したものを父は8時までに食べ終えなくてはなりません。8時から9時まで父の身体ケアをしてくれるヘルパーさんがやってくるからです。

 そして9時になったら私か兄が足腰の立たない父を何とか車に乗せて病院へ連れていきます。帰りは送迎専門の業者さんが車椅子ごと車に乗せて家まで届けてくれます。なぜ出かけるときにもその業者さんに来てもらわないのかというと、ここが介護保険の使い勝手が悪いところなのですが、朝のヘルパーさんが帰ったあと2時間あけないと次の業者さんを利用できないそうです。

 介護を要する人のニーズや生活パターンに合わせて柔軟な運用ができないことは摩訶不思議というほかありません。そんなわけでこの4月から父の送り迎えを同一の業者さんにお願いすることにし、朝の身体介護で入っていたヘルパーさんはお断りせざるをえなくなりました。

 ところがこのことはとても残念なことかと言うとそうでもありません。父にとってヘルパーさんから次々と「はい、パジャマを着替えましょう」、「歯を磨いてください」などと指示されるのがうっとうしいことこの上ありません。もういつ亡くなっても大往生という年齢になっているのに、あれこれ指図されるのは息子の私から見ても気の毒な気がします。

 パジャマなんか毎日着替える必要は全然ありません。それなのに毎日ヘルパーさんがパジャマを着替えさせるのは、数年前に作った計画書に基づくマニュアルにそのように記載されているからです。朝ご飯を食べさえすれば顔も拭かないまま病院へ行って何が悪いという気がします。

本誌:2012年4.16号 12ページ

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