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タイにとけ込む

 今年は2カ月ごとにタイに行きました。バンコクの名だたる観光地「暁の寺」や「水上マーケット」などは1回行けば十分、では何をして3、4日の短い休暇を過ごすかというと何もしないでぼーっとしています。いかにぼーっとしているかというと…

 いつも滞在するのは新宿歌舞伎町のようなシーロム地区にあるホテル。夕方になるとコピー商品を売る屋台で身動きが取れなくなるパッポン通りは目の前という好立地です。

 カフェテラスでコーヒーを飲みながら行き交う人々を眺めていると、日本で介護に明け暮れているのは自分じゃない、ここでぼーっとしているのが本当の自分だという気持ちになれます。

 ぐずぐずとコーヒーを飲んだあとちょっと歩き始めると、たちまち熱帯の太陽に照りつけられて汗ばんできます。すると文字通り軒並み店を構えているマッサージ店から声が掛かります。フットマッサージが1時間800円。申し訳ないような料金です。

 フットマッサージをしてもらって足取りも軽い、路上に張り出した屋台のカレーが私を誘惑し始めます。タイ語なんて難しすぎてひとこともしゃべれない、でも何も困りません。「ご飯にこのカレーと鶏肉とこの野菜を載せて!、あっ、それからミネラルウオーターも」と料理を指さしながら注文し簡易テーブルに腰掛けて待っているとたちまちホット・レッド・カレーが到着。35バーツ(100円)。

 太陽が熱い、口の中も熱い、胃まで熱い、でも心は空っぽ。ホテルから持ち出した厚手のフェイスタオルで汗をぬぐい、また歩きます。歩くと疲れる、そしてまたマッサージ屋へ。

 熱帯地方は夕方暗くなるのが案外早い。まだ7時、何もすることがない、何もすることがないから夕飯でも食おう。

 チャオプラヤー川の渡し船に乗って夕涼み。突然雷鳴とともにスコールが始まる。夜10時、ディープなバンコクの夜がやっと始まります。

 読者の皆様、バンコクより素敵な町が他にあったら教えてください。

本誌:2009年11.9号 22ページ

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