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雨乞い祈願

 今年は梅雨というのに雨が全然降らず、本当なら今ごろは収穫最盛期になるナスやキュウリが弱ってしまい雨を欲しがっています。

 そんなおり村の小高い丘の頂上にある八大龍王様で雨乞い祈願をするから参加するようにと、祈祷番の顔役おばさんからお達しがありました。

 ものの本によれば、八大龍王というのは法華経にある仏法守護神の総称で、その中の娑羯羅龍王(しゃがらりゅうおう)というのが雨乞いの神として日本でも各地で信仰されてきた、ということです。

 我が龍王様の石碑の裏側には「征露紀年」(1904年、日露戦争戦勝記念の私年号)という文字が刻まれているところをみると、今の石碑は少なくともすでに100年の歳月をこの山の上で過ごしたことになります。

 祈祷の主役はまだ四十前の若いお坊さん。数年前、半年にもわたる大荒行に出かけ特別な法力すなわちマジカルパワーを感得したとか。その一方、暇なときはブランドに身を包み、青く剃った頭をベレー帽で隠し喫茶店でipodに聴き入っている姿をちょくちょく見かけます。そんなとき「お上人!」と声をかけると耳まで真っ赤にして恥ずかしがり、「外では坊さんと呼ばないように」と説教されます。

 さて、祈祷が始まると、「一天にわかにかき曇り」というのは大げさですが、もともと梅雨シーズンでどんよりしていた空からぽつぽつ雨が降り始めました。夕方にはその雨もやんだし翌日の天気予報は朝から晴天ということだったので、家中の冬物衣類を大洗濯し夜のうちに外に干して寝ました。

 朝、目がさめると天気予報に反し明け方大雨が降ったようで洗濯物はびしょ濡れ。大荒行を感得したブランド坊主の法力は本物でした。

本誌:2009年7.6号 14ページ

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