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竹富島の水牛車時間

 八重山諸島の中心、石垣島の沖合に竹富島という小さな島があります。観光パンフレットに「どこまでものどかな風景が心なごませる島」と書いてある通り、この島では流れている時間が違うという気がします。

 伝統的な赤瓦屋根の民家がすばらしくいい状態で保存され、メーンストリートの狭い路地は珊瑚砂が敷き詰められています。そこを、観光客を乗せた水牛車がゆっくり通り過ぎていきます。

 民家の庭先におばさんがいたのでちょっと話をしました。娘時代、台湾に行き、そこで鹿児島出身の男性に出会って結婚、敗戦とともに竹富島に帰って子育てしたことなど一代記を拝聴、しかしこのおばさん、どうみても70前ぐらいにしか見えないし、話が合わないなと思って年齢を聞くと何と85歳だそうです。

 おばさんと話しているうちにまた水牛車が回ってきました。御者の若者が三味線を弾き、民謡を歌い、島の言葉でお客を笑わしているのですが、おばさんの解説では、御者たちのほとんどは最近本土から来た人たち。それでも本当に上手に歌を歌ったり、三味線を弾くので感心しますよ、と笑っていました。

 20人ものお客を乗せた水牛車を引く水牛も、おばさんの説明では余所から連れて来られたもの、頭のいい動物で1週間ほどで周回コースを覚えてしまうそうです。

 島で民宿をやっている人も本土からやって来た若い人が多いとのことですが、舞台裏の事情はどうであれ、竹富島はほかのどこの観光地にもないゆったりした時間の流れが体感できるすばらしい島でした。

本誌:2006年2.27号 14ページ

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