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[業務命令] 始末書

Q 始末書を出せと言っても出さない。業務命令で強制ができないのですか?

謝罪や反省の強制はできない

A たとえ就業規則に「始末書をとり将来を戒める。」と定められている場合でも、始末書「謝罪や反省も含む」を強制することはできません。(甲山福祉センター事件神戸地裁尼崎支部昭和58.3.17判決・労働判例412号)

 個人の意思の自由は最大限尊重されるべきであり、業務命令という形での強制も、業務命令に違反したとしての懲戒処分も、不提出を理由に不利益な取り扱いも、できません。

 では、なぜ、始末書を求めるのでしょうか?

まずは、始末書を求めることにより、従業員の不祥事の再発防止・職場秩序の回復だと思います。
ほかに訴訟になってからの対策も考えられると思います。あのときこういう点に留意しておけばよかったと思うことも多々あるからです。

たとえば懲戒処分の効力が争われる場面を考えてみます。
ここでは、(1)その行為と懲戒処分のバランスがとれているか。あるいは他の処分とバランスがとれているか。(2)本人に弁明の機会を与えたか、調査方法に不当な点・無理な判断はなかったかが問題になります。つまり懲戒権の濫用か、事実関係は確定しているか、が問題になるということです。

訴訟になってから、「無理やり書かされたものである」とか、「会社の都合のよいように訂正させられた」と言う恐れもあります。また、あたかも他人(会社の指導不足・他の従業員のせい)に責任を転嫁した始末書になっている場合もあります。始末書には、「だれが」・「いつ」・「どこで」・「何をしたか」等が明確であり、責任の所在はどこなのかを客観的な事実にのっとり正確に記述されていることが大切です。

 「…5W1H…にしついては、私に責任があり、二度とこのようなことがないようにします。」というように、紛争になってから逃げ道を与えないようにすることが大切です。もし、他人に責任を転嫁した始末書が提出されたらコピーをとっておきましょう。「無理やり書かされたものである」ならそのような言いたい放題の始末書ができるわけがありません。また、文章も署名も自筆で書いてもらう方が望まいでしょう。


双田社会保険労務士事務所所長
双田 直氏
岡山市野田4-1-7
TEL086-246-6064

本誌:2004年7.1号 63ページ

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