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連載記事杉山慎策の経営学考察

国富論を読む17 ~貨幣の役割~

 スミスは、国民資本を「生産的資本」と「非生産的資本」に分けて考える。生産的資本は、産業や商業に投入され、労働を雇用し、利益を生む資本である。一方、貨幣はこの生産活動を支える媒介手段にすぎず、それ自体が富を生み出すものではない。したがって、貨幣は国民資本を維持するにすぎず、過剰に蓄積されるべきではないと主張する。

 人類は長く物々交換が主流だったが、次第に金属貨幣が使用されるようになり、さらに紙幣が登場した。金属貨幣はその素材自体に価値があるのに対し、紙幣は信用に基づいて価値が保証されている。

 貨幣そのものは消費されることなく経済内で循環するだけである。そのため、貨幣の流通が効率的であればあるほど、同じ量の貨幣でより多くの取引が可能となり、経済全体の成長を促進する。スミスは、貨幣の流通を活発にすることが経済にとって重要であり、単に貨幣を貯蔵することは非生産的であると指摘する。

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本誌:2025年4月7日号 17ページ

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