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連載記事山田響子の魅力を引き出すコミュニケーション術

1軸で考えるアドラー心理学

 企業様にコミュニケーション研修をご依頼いただき、その後社内メンターとして、定期的な面談を承るケースが増えています。大切な人材が対人関係の問題で出社ができなくなったり、配置換えを希望したりと、経営者や管理者層の方々にとって、悩ましい問題があるようです。

 アドラー心理学は「目的論」の心理学です。なぜそうなったのか?なぜなのか?どうしてなのか?という原因の追求も大切ではありますが、「なんのために?」という目的に焦点を当てる心理学です。不適切な行動にもその人なりの目的がある。その視点でお一人お一人と向き合っていきます。不適切という言い方にも語弊があるかもしれません。

 理解に苦しむ言動があったとしても、その人にとってはその人なりの善なる目的がある、そう考えると見えなかったものが見えてきて、対処の仕方が見えてくるものなのです。何よりも、「なぜ」そんなことをするの?「どうして」そうなったの?と問われている時にはどうしても対象者には責められているという感情が芽生えてしまいます。だれも分かってくれない、という感情はかえって対象者の心を頑なにし、事態を悪化させてしまいかねません。

 あなたには、あなたなりの善なる目的があったんだね。まずはそれを理解しようと努めること。ただし、現状ではその目的が叶っていないことを共に考えます。そのことは本人が強く自覚していることがほとんどです。だからこそ、その人にとっての善なる目的を叶えるためにはアプローチを変える必要があることに気づいていただくのです。

 責められた、周りは敵だ、と思うとより不適切な行動が強化されるということも起こりがちです。

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本誌:2023年10月9日号 19ページ

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