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連載記事スローライフ~午後4時の窓辺から~

「70歳が老化の分かれ道」:書評

 大型書店の中をあちこち何かおもしろい本はないかと物色していたら、今の私の年齢にふさわしい文庫本が目にとまりました。精神科医、和田秀樹さんの近著、「70歳が老化の分かれ道」(詩想社新書、2021)です。平易な文章はまさに「分かれ道」にさしかかって、いささか人生に疲れ、モチベーションが低下した読者でも読み通すことは容易です。

 内容としては4つの章に分けられ、健康長寿のカギは70代にあること、老いを遅らせる生活、医療とのつき合い方、そしてさまざまな70代の危機を乗り越える方法が示されています。ざっと目を通したところ、そこに書かれてあることはおおむね私自身の生活信条、おおげさにいうと人生観によく合致しています。

 例えば、高齢者が早々と免許証を返納することは運動機能や脳機能の低下に直結するとしてその風潮に異を唱えています。歩行困難な人、自転車ではふらつく人こそ車はまさに助け船です。車の免許証を返納したらバスやタクシーに乗ればいいではないかと言っても、東京や大阪と異なり岡山県下の貧弱な公共交通機関を使ってまでふらりと外出する意欲はわきません。著者は一般に言われている「高齢者は事故を起こしやすい」というのは事実ではないことを統計の数値を示して反論しています。

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本誌:2022年夏季特別号 19ページ

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