流行病(はやりやまい)というのは不思議なものです。人も病原菌(ウイルス)も流行初期にはお互いに大変な恐怖感を伴って相まみえるものですが、1年2年と時間を重ねるうちに何となく付き合い方の落としどころが解ってきていつのまにか共存するようです。

　エイズも流行初期には人類が全滅するのではないかというぐらい怖れられ、実際多くの人が命を落としました。当時は散髪屋に行くのもためらわれるぐらい怖い病気だったのに今では特効薬が開発されたおかげもあってもはや死の病でなくなり、多くのHIV陽性者も天寿をまっとうできるようになりました。

　コロナについても同じで流行の初期には著名な芸能人が相次いで亡くなったせいもあり、世の中全体が戦後最大級のパニックに陥りました。いったん40度近い熱がでようものなら医療機関を直接訪れることは禁じられ、恐怖と孤独のなか保健所の指示を待つしかありませんでした。病床は逼迫し検査も医療も受けられないまま自宅で亡くなる悲惨なケースが相次ぎました。

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