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連載記事岡山消費者動向

豊かさとは何か

 新聞やテレビなどで国の豊かさを測る指標として「GDP」あるいは「一人当たりGDP」について語られることが多い。「GDP」はGross Domestic Productの略であり、「国内総生産」の意味である。つまり、「GDP」とは一定期間内に国内で産み出されたモノやサービスの付加価値の合計のことを言う。

 「GDP」はもともと1930年代にアメリカ政府から国民所得推計の依頼を受けた経済学者サイモン・クズネッツが中心となり作り上げた。クズネッツはその貢献から1971年ノーベル経済学賞を受賞している。「GDP」の作成理由は大恐慌の最中、戦争の費用をどう賄うかを検討するためであった。

 現代のハイテク戦争は費用も半端なくかかる。ウクライナに侵攻したロシアは一日2.5兆円の費用がかかっていると試算されている。1カ月経過すると75兆円となり、ロシアの年間「GDP」の4割を超える。2カ月継続するとロシアの年間「GDP」の8割を超える。外部から資金投入がされないとロシア経済は破綻する。

 よく言われることであるが、「GDP」は豊かさを表す指標としては不完全である。『GDP―<小さくて大きな数字>の歴史』の著者であるダイアン・コイルは「金融部門はGDPを過大評価させている」ことを指摘している。クズネッツも「金融や投機、また、大都市での地下鉄や高層マンションのような高価な住宅は必要悪的出費である」と考えていた。戦争のための兵器はGDPに算入されるが、生きるために必要な家庭で作られる料理や洗濯や掃除は「GDP」には含まれない。

 「GDP」が発明されて90年近くなる。そろそろ本当の豊かさを表す指標を考えてもよいのではないだろうか。今回は全国と比べて岡山の豊かさがどのように感じられているのかについて検証してみた。

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本誌:2022年4月18日号 13ページ

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