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連載記事山田響子の魅力を引き出すコミュニケーション術

人の気持ちを動かす伝え方とは?

 伝える・伝わることのゴールは一体なんでしょうか。どんな答えが浮かんだでしょうか。きっとさまざまな答えが浮かんだのではないでしょうか。どの答えもあなたにとって正解だと思うのですが、私が思う「伝える」のゴールは「動く」ことだと思っています。まず、伝えることによって心が動く、そして体が動く、つまり行動が変容するところまでたどり着くことができたら最高なのではないでしょうか。

 では、動かしたい、動いてもらいたいと思ったらどうすればいいのでしょうか。一番簡単な方法は、こちらが「先に動いていること」です。体を動かすのではありません、まず初めに動かしておくべきはこちら側の感情です。人は感情の生き物です。中には、非常に理論傾向の高い方もいらっしゃいますが、多くの方が、先に感情が動き、次に思考で理解するという順番です。

 本屋さんにいくとさまざまタイトルさまざまな帯の本が並んでいますが、思わず目が止まる、思わず手に取りたくなる本は、表紙に目にとまる言葉があります。その言葉があなたの気持ちを捉え、「なに?」「どういうこと?」「それは知りたい」などと感情が動き、そのあと「なるほどこの著者は弁護士なのか」であるとか「なるほど体の仕組みを使うのか」といった理解のゾーンに入っていくように設計されています。ロジカルに判断した、と自分では思っていても、つい心捉えられ動かされてしまっているのです。

 ところがです、誰かの気持ちを動かしたい伝え手の方が、とにかく頭で説得しようとしてしまうことがあります。なんとか伝えたい、良さを分かって動いてほしい、ここを伝えたら分かるだろうということを次から次へと繰り出して「説明」を超えた「説得」に入ってしまう。すると、聞き手は、「動かそうとしている」と外的圧力を感じてしまい、心動かすどころか、心が貝のように固く閉じられてしまうことすらあります。

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本誌:2021年10月11日号 19ページ

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