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連載記事スローライフ~午後4時の窓辺から~

粗大ごみ

 両親が亡くなって早くも数年が経過したというのに実家の片づけができません。片づいていなくても居住のためのスペースはあるし、親と過ごした日々の証人でもある衣装ケースや介護日誌などをおいそれと捨てるのは忍びがたいものです。しかしながら、こういう前口上は得てして横着な人間の言い訳に過ぎないことは皆様ご賢察のとおりでございます。

 そもそも粗大ごみの出し方が分からない、というか考えるのも嫌で、せっかく市役所が懇切丁寧にごみの出し方について広報してくれているのに、最初の一歩が踏み出せません。ところが先日思いがけず粗大ごみ問題に決着をつけないといけない事態が発生しました。寒さがぶり返した日の朝、いつものように台所で洗い物をしようと蛇口をひねり、お湯が出てくるのを待っていたのに、あれっ?冷たい水しか出てこない。

 勝手口から裏に出てみると電気給湯器から水がだだ漏れになって悲惨なことに!あわてて給湯器につながっている水栓を閉め、専用ブレーカーも切りました。お湯のある生活に慣れきった現代人にとって、蛇口からお湯が出てこないのはパニックもいいとこです。さっそく電気屋さんを呼びたいのですが、その前にやらなければならないことがありました。家の裏側の門扉から給湯器が設置してある場所まで古いソファーなど粗大ごみが通路をふさいでどうにもならないのです。まずはこれを片づけないと話が始まりません。

 困り果て、ついに岡山市の粗大ごみ受付センターに相談の電話をかけました。「案ずるより産むが易し」、電話でてきぱき指示していただき、コンビニで所定の「粗大ごみ処理券」を購入しました。最初はとりあえずソファーだけと思っていたのですが一度に10点まで出せるとのことで、介護に使っていたポータブルトイレや壊れた石油ファンヒーターなどもいっしょに出しました。

 最晩年の両親とともに過ごした日々の思い出の物品に別れを告げるのはつらいです。でもうかうかしていると私自身が粗大ごみになってしまいます。やれやれ、電気温水器が故障したことがきっかけで、長年思考停止していた実家の片づけ問題がやっと動き始めました。自分ではどうにもならない粗大ごみを片づけていただいて、市の清掃担当の方々には感謝の気持ちでいっぱいです。

本誌:2021年3月15日号 14ページ

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