WEB VISION OKAYAMA

連載記事山田響子の魅力を引き出すコミュニケーション術

気を配りたい「声の印象」

 Clubhouseという音声によるSNSが話題になっています。音声版のTwitterなどとも評されているようです。時間帯によっては不安定になったり、思いがけないつながりが広がったりする点が、初期のTwitterに似ているのだそうですが、わたしはTwitterのような拡散力があるわけでもなく、電話番号に紐づいた招待制のアカウントであるということから現在のTwitterとは異なった印象を持っています。

 きっと次は、音声メディアがくるのでは?と噂されていましたが、このような形のSNSになるとは驚きました。求められていたのは「雑談」だったのです。Clubhouseではルームと呼ばれる小部屋を自由に作ることができ、気になるルームに入って話し手の話を聞いたり、手を挙げて話し手に混じったりすることができます。もちろん著名人がためになる話をする場もあったりしますから、全てが雑談ではないかもしれませんが、会話はアーカイブに保存されることはなく、その場に立ち会った人たちだけのものです。炎上しにくい特性もあり自由な会話が繰り広げられているようです。

 このルームの中で一際重要な役割を担うのは「モデレーター」という存在です。「モデレーター」とは、討論会や座談会などでは進行役や取り仕切り役を務める人のこと。発言者に質問をしたり、次の発言者を指名して場を回していきます。参加者に発言権を与えたり、ときには発言できる場所から追放したりといった権限を持ちます。

 Clubhouseの流行で浮き彫りになったのは、人は「もっと、話したかった」ということだと感じています。YouTubeやライブ配信などの気合いや準備も不要でスマホの前でスッピンでも話に参加できるその気軽さから「話したい」という気持ちが満たされているのを感じます。そして、この場で最も輝く役目をするのは「話す人」よりも「場を回す人」であるということも特徴だと感じます。人は心の奥に「話したい」という想いを抱いており、うまく話させてくれる人こそが求められているのです。

 そして、声のメディアがこれほどまで注目されることも「ラジオ」の出現以来ではないでしょうか?Clubhouseにしばらく入り浸ってみって(沼にハマると称するようです。笑)改めて「声」の情報量の多さに驚かされました。「声」だけなのに、そこにはその人そのものが映し出されているからです。声だけできっとこんな人という印象がかたち作られてしまっています。たんに「声」と言ってもたくさんの要素があります。声の高さ、低さ、スピード、抑揚や間合い、などなど。決してアナウンサー出身の方の話し方が魅力があるかと言われると、そうでもないことが不思議です。流暢にきれいにしゃべるよりも一生懸命話している人の方が好感を持てたりするのです。そう、声や話し方に表情があること、感情が乗っていることの方が大切で、想いを伝えるために声や言葉があることを思い知らされます。

 ただ、声に関して一つだけ言えることがあります。それは第一声を、口角を上げて話し始めること。多くの知らない人も聞いている中で声を発するタイミングは緊張します。緊張すれば筋肉が硬くなる、表情筋も固まってしまいます。表情が硬い状況で声を発すれば必ず声は低く暗くなります。人の印象は最初の6秒で形作られてしまうとも言います。とくに視覚情報が封じられている声だけのコミュニケーションでは第一声の印象がその人の印象そのものになってしまいます。だからこそ、発言を求められた場が緊張するシーンであればあるほど話し始める際の表情に気をつけていただきたいのです。

 電話オペレーターさんなどの声だけで対応する方々は、デスクのパソコンのモニターの横に鏡が取り付けられていたりするようです。表情は思っている以上に声に出ます。音声メディアや音声SNSで話したりすることはないよ、という方でも電話での対応はまだまだのあるはずです。ぜひ声の印象にも気を配ってみてください。

本誌:2021年3月8日号 17ページ

PAGETOP