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連載記事マネーの道しるべ 64

バナナが売れるように株が売れる

  • 森康彰氏

 このコロナ禍中で全世界的にネット証券の口座数が増えました。米国では、外出自粛中に大手ネット証券の新規口座開設数がこれまでの2倍、英国では3倍に増えたそうです。日本でもSBI証券とスマホ専業のSBIネオモバイル証券の口座数は3月末時点で540万口座に達し、業界最大手の野村証券の口座数を超えました。

 実体経済に目を向けると、サービス業を中心に失業者の数は日に日に増加しています。インバウンド消費も年内は見込めないでしょう。そんな中、日経平均は6月8日に2万3000円台を回復しました。コロナショック当初、多くのアナリストたちが株価のV字回復は難しいと予想したのに反し、一気に回復してしまいました。この違和感は何なんだろうかと考えてみたところ、一つの答えにたどり着きました。

 タレントのみのもんた氏が人気絶頂だった2008年ごろ、情報番組でバナナが健康に良いと言えばスーパーの棚からバナナが消えるほど売れた現象と同じなのではないかと。ステイホームで、時間とお金を持て余した人たちが「バナナは健康に良い」と同レベルの理解で株は買い時だとの情報からネット証券口座を開設し、買っているのだと思います。そして、実際に買ってみると株価は上がっていく。初めは疑心暗鬼だった人もその利益を見て、買い増していく。17年末に向けて価格が上昇していったビットコインの時も同じでした。スマートフォンのボタン一つでビットコインを買えるようになり、買ったそばから価格が上昇し、その高揚感からどんどんと買い増していきました。そういった人たちに注意喚起しましたが、年が明けて価格が暴落するまで、買うのをやめませんでした。

 今回の株価のV字回復がいままでと同じバブルなのか、それとも貯蓄から投資への大きな転換点となるニューノーマルなのかは、もう少し時間が経ってみなければ判断できそうもありません。

●森康彰●2年間、保険代理店に勤めた後、2008年に保険コンサル会社㈲e.K.コンサルタントを設立。2014年に東京支社を設けるなど、首都圏へも業務を拡大中。 敬愛する人物は、稲森和夫、立川談志。

本誌:2020年6月22・29日号 13ページ

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