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連載記事スローライフ~午後4時の窓辺から~

梅雨入り

 今年の梅雨はいきなり大雨で始まりました。例年なら梅雨の末期によくある集中豪雨に似た激しい降り方に真備の悲劇が思い起こされます。

 日曜日、今にも落ちて来そうな暗い空の下、総社から矢掛にかけてドライブしてみました。小田川流域の水没した町並みは今では傷跡が目立たないまでに立派に復興していました。被災された住民の大変な努力のたまものと頭が下がります。

 道路沿いの農家の庭先には、ナス、トマト、キュウリ、トウモロコシがはやくも実を付け収穫の時期を待っています。連休前、野菜の苗が植えられ、種が蒔かれたころは新型コロナの真っ最中で、世の中から人も車も消えてしまったような状態でした。

 私も野菜畑を少々持っていますが、コロナ隆盛期のころは野菜の植え付けに関して何もする気になれず畑は荒れるにまかせていました。感覚的には何だか、自分の内部にある季節を感じるセンサーが麻痺してしまったような今年の春でした。

 ところがやはり農家の人には季節の移ろいを何よりも大切にする習慣がほとんど本能のように備わっていて、ちゃんと適期に野菜の苗を植え、田んぼでは籾を蒔き、例年通りのペースで田植えが終わっています。

 梅雨に入って、私も遅ればせながらホームセンターに出かけキュウリやゴーヤの苗を買ってきました。インゲンやササゲはこれから種蒔きしても十分間に合うので植えてみようと思います。

 思えば、コロナさえなければ今ごろはオリンピックの開幕を前に日本中が大フィーバーを起こしている最中だったでしょう。まったく戦争に匹敵する犠牲者を出し、未曾有の経済的、文化的、心理的損失をもたらした新型コロナウイルスの世界的な流行は当初の甘い見通しをはるかにくつがえすものでした。東京都知事でさえ(だからこそ)3月末ごろまでオリンピックは開くと公言していました。ほんとうに世の中一寸先は闇とはよく言ったものです。

 一方、農家の庭先に植えられた野菜が季節どおりに実り、例年どおりツバメが農家の納屋の天井に巣を作って子育てしているところを見ると、自然の営みほど安心確実なことはありません。慈雨が田んぼの稲を育み幾多の水辺の植物や動物を養う6月の田園。ただ集中豪雨だけはご遠慮いただきたいものです。

本誌:2020年6月22・29日号 15ページ

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