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連載記事スローライフ~午後4時の窓辺から~

不可解なできごと

 観劇のため家を空けていたある日の夕方のことです。家から少し離れた場所にある喫茶店のマドモアゼルから電話がありました。今どき電話とは緊急事態発生に違いありません。

 「さっき店に岡さん(筆者)の近所の亀を飼っているという人(亀さん)が見えて、黒猫が変死しているから連絡してほしいと言っていました」と言うのです。亀さんは4、5年前に近所の空き家を買ってそこを仕事場にしている方で、私はときどき畑で採れた野菜をあげたり、亀さんが池で飼っているスッポンの話をするぐらいで特に親しいわけではなく、名前も電話番号もお互い知りません。でも好感がもてる人です。

 確かに我が家には猫が6匹いて、たまに外に出してやるとなかなか帰ってこないので「チビちゃん、クロちゃん、帰っておいで!」などと外に向かって大声で呼び掛けることもしばしば。しかし私が家を空けるとき猫を外に出したままにすることはありません。でも亀さんにしてみれば私の猫が毒殺されたと思って、お隣のでしゃばりセツコ婆さんに私のいそうな場所を尋ねたようです。

 でしゃばり婆さんは変死した黒猫が実は近所の人がお世話をしている地域猫だとよく知っているくせに肝心のお世話している人には連絡せず、亀さんにもどこの猫か説明していません。私の猫が変死したと心配してくれている亀さんに「こうちゃん(私)なら、いつもあそこの美人ママがいる喫茶店に入り浸っている」とでも言ったのでしょう……。

 ともかくマドモアゼルにはうちの猫は外に出していないから大丈夫と伝えてスマホの電源を切って舞台を鑑賞、再びスマホの電源を入れたら、そこには兄からの数回の着信履歴とメッセージがありました。「セツコさんから、近所で黒猫が変死したと電話があったが……」。驚きました。

 私に連絡がつかないからと言ってよその町に住んでいる兄にまで何故に電話したりするの?まったくでしゃばり婆さんのでしゃばりたる所以です。「飼い猫が変死した?ケータイもつながらない!これは実家の弟に何か起きてる」と思って兄が留守中合い鍵で家宅侵入でもしていたら。

 私自身生まれ育った場所で孤高を保って暮らしているつもりでも、私の行動はご近所から逐一監視されていて丸裸同然です。猫の変死事件より恐ろしい田舎暮らしです。

本誌:2019年3月18日号 15ページ

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