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連載記事山田響子の魅力を引き出すコミュニケーション術

会社説明会での役員あいさつについて

 就活戦線が間も無くスタートしょうとしていますね。2019年から私の新しいメニューがスタートしました。それは、「企業説明会でのスピーチ指導」。採用支援の企業様から直々にご要望をいただき、スタートしたメニューです。

 「社長(役員)のあいさつを、なんとかしてほしい!あれでは学生たちは逃げていってしまう」との声で生まれたサービスです。事態はとても深刻のようです。

 就職戦線は今や学生達の売り手市場。企業の方が選ばれる時代です。特に誰もが名前を知っているというような企業であったり、身近に製品やサービスがあるというような業態でない場合はとても苦戦を強いられているようです。ちなみに、ネット上にあった、とあるアンケートによると「会社説明期で必要ないと思ったもの」の第一位はダントツで「役員あいさつ」でした。約3人に1人はいらないと思っているというアンケート結果となっています。(WORK&LIFEサイト「あなたの会社説明会は大丈夫?就活生のリアルすぎる本音!説明会で志望度を上げる方法とは?」より)

 実際プログラム製作にあたり、実際の企業様にご協力をいただき、収録した映像をチェックさせていただいたり、前年の原稿で再現していただいたりしたのですが、学生たちが「このあいさつはいらない…」と思ってしまうのも、納得してしまうものでした。

 まず、何が欠けているのか。それはゴールを描いて、相手の視点に寄り添うことです。社長(役員)あいさつと言われたら、さあ何を話そうか、と考えると思います。「こんな事でも言うかな」と、選んだ言葉たちを並べて、当日はあいさつをするでしょう。「我が社の歴史」「取り巻く環境」「わが社が大事にしている事」「これからの社員に期待する事」それから他には?このようなあいさつの作り方が一般的でしょう。むしろ、他にどんな方法があるのかと思われるかもしれません。

 人に何かを伝える、ということは「聞いている人の変化を生む事」です。さらには「行動を生む事」とも言えます。目の前にいる学生たちは、今どんな気持ちでいるのか。そしてこの話を聞き終わった時、このような気持ちに変化していてほしい、そして、こんな行動をとってほしい。と、「今」と「ゴール」の変化を描くことから始めてほしいのです。

 少なからず、この会社に興味を持ったので、今目の前に座っているだろう学生たち。わが社については、配った資料くらい見ているだろうか?当然、まだ他の会社と比べられている段階。今ここで、わが社を選ぶ決め手を伝えることができれば、選考に進むという望むステップに進んでもらえるだろう。では、学生たちにとってわが社を選ぶ決め手はなんだろうか?わが社のどんなところが、他社と比べて選ぶ理由なのだろうか?不安に思っていることはないだろうか?どうすれば不安を少なくすることができるだろうか?

 社の歴史を伝えるのであれば、この歴史があるから未来も安心だと伝わるように。若い会社であるなら、若い会社だからこそ得られるチャンスや可能性が伝わるように。「伝える」というシーンでは、話し手が前に立っているかもしれないけれど、聞く人のためにあるのです。

 ここまでお伝えして、お分かりでしょうか。そのためには何よりも、自社分析ができていることが土台となります。わが社が選ばれる理由を、自ら理解して、そのことを適切に伝えるのです。さらには、学生たちの気持ちを理解するよう関心を寄せて、学生達の言葉にしない「心の声」をキャッチしておくことが大切です。

 アンケートに書かれている声は、実は正確ではありません。会社説明会で、社長の話はつまらなかったとは誰も書きません。だからこそ、アンテナを聞き手に向けて、声に出さない「心の声」をキャッチするように努めてほしいのです。そして、しっかりと自分たちにアンテナを向けてくれている、自分たちの声にならない声を理解してくれている、と感じる企業であれば、きっと次の選考に進みたいと希望を持ってくれるのではないでしょうか。ぜひ素晴らしい人材と出会えますように。

本誌:2019年1月21日号 23ページ

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