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連載記事スローライフ~午後4時の窓辺から~

少しがっかり、新しい出会い

 年末クリスマス前にカナダから遠縁になる女子大生がボーイフレンドを連れて来日しました。「岡山に寄りたい」というメールを受け取ったのは来日の10日ほど前のことで、用件もただ「行きたい。会うことができますか」だけの内容で自己紹介的な記述がありません。とりあえずカナダの従姉キャスリーンに電話して「どんな子?」と尋ねてみたら反応がパッとしません。「あの子は自分のおじいさんの葬式にも来なかったような子、人のいいお前が便利に利用されるのが心配」とのこと。

 でも実際にやってきた彼らと岡山や倉敷の名所や先祖の墓所などを見て回ったことは私にとってもいい気分転換になり、あわただしくも楽しいひとときでした。1泊2日の滞在時間はあっというまに過ぎて岡山駅まで見送ってお別れしました。「カナダに来たときはぜひ我が家に寄ってください」とちゃんと社交辞令まで言える子たちでした。

 キャスリーンには電話で「いい子たちだったよ」と報告。キャスリーンは「私こそ偏見で見ていたのが恥ずかしい」などと言っていましたが、彼女の観察眼が鈍っていたわけではないことがまもなく判明しました。

 「これから広島に向かい、その後は金沢、野沢温泉で日本の正月を体験し1月4日に帰国する」と楽しそうに言っていたのに、その後いっさいメールがありません。岡山で案内した前川國男設計の県庁舎や吉備津神社、丹下健三設計の旧倉敷市庁舎など彼らが大学院で専攻している建築学的に重要な建造物の来歴などを英文でまとめてすぐ送ってやったりしたのですがなしのつぶて。

 でも、彼らのこうした振る舞いは私の甥や姪でも似たりよったりで、いまどきの若者には昔風のマナーはぴんとこないのでしょう。ときたま後楽園や倉敷でにわか観光ボランティアをして知り合いになる欧米観光客からもサンキューメールなど届いた試しがありません。むべなるかな。

 感謝されるためにボランティアしているのではなく、特に私の場合はでしゃばりの範疇です。それよりもやはり知らない異国の人、世代の違う人々に出会う意味は大きいしまた楽しいことです。「利用される」という意味では私もカナダ人カップルをしっかり利用させていただきました。ネイティブとの濃い時間の共有は英会話の練習にもってこいです。

本誌:2019年1月21日号 16ページ

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