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出願料未納の商標出願からの分割出願

 Q 他者が、弊社使用の商標を出願(親出願)した後、その親出願を基礎とした分割出願(子出願)をしています。この親出願は出願料が支払われず、既に出願却下になっているようです。この親出願及び子出願いずれも、弊社商品が属する指定商品を含むものです。

 弊社は、このことを知らず、親出願と子出願との間に弊社使用商標を出願しましたが(現在は審査待ち)、弊社出願は親出願よりも後ですので、弊社の出願は登録されないのでしょうか。

 A  親出願の指定商品又は役務(指定商品等)の一部を指定商品等とし、親出願の商標と同一の商標に関してなされた分割出願(子出願)をすると、子出願の出願時が親出願の出願時に遡る効果(遡及効)が認められる分割出願制度が以前から設けられています。しかし、以前のこの制度では、出願料を支払わない親出願であっても、それに基づく分割出願(子出願)に遡及効を認めていたため、他人が使用している商標を先取りするような行為が生じ問題となっていました。この対策として、今般、商標法が改正され、「親出願の出願料が納付されていること」という要件が従来からの分割出願要件に加えられました。今後はこれにより、出願料未納の親出願に基づく分割出願として出願された子出願は、分割出願の要件を満たさないことから、分割出願と認められません。従いまして、このような子出願には、分割出願の効果である子出願出願時の親出願出願時への遡及効は認められず、子出願出願時は子出願の実際の出願時とされます。

 ご相談の例では、親出願は出願料が支払われず、既に出願却下になっており、子出願が、「親出願の出願料が納付されている」ことを満たしていないことから、子出願出願時が親出願出願時に遡及することはなく、子出願出願時は子出願の実際の出願時とされます。このため貴社使用の商標に係る出願については、貴社の出願の方が子出願よりも早いことになり、仮に、子出願に出願料が支払われたとしても、貴社出願が登録されることになります。

 なお、この「親出願の出願料が納付されている」要件は、平成30年6月9日以降の分割出願に適用され、それより前の分割出願には適用されません。

本誌:2018年12月3日号 25ページ

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