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連載記事スローライフ~午後4時の窓辺から~

2年ぶりのバンコク

 10月末に3泊5日の日程でバンコクに行ってきました。旅先で特に行きたい場所があるとか知り合いがいる訳でもないのに、しばらく行かないと何となく出掛けてみたくなります。秋のバンコクはよく晴れて暑すぎることもなく、以前に比べ街も少し落ち着いて感じられました。

 タクシーにはまず乗らない私にとってバンコク市内を縦横に走る路線バスほど頼もしいものは他にありません。地下鉄や高架軌道線(BTS)は路線が少なく、駅の階段を上り下りするだけで足にきてしまいますが、次から次へとやってくるバスはボロいけれど本当に便利です。今の時代でもバスには車掌さん(おばちゃんが多い)が乗っていて、乗車するとすぐに切符を売りにきます。

 車掌さんは、私が財布の中のコインを全部取り出し手のひらに載せておくとバス賃を取ってくれます。いつも感心するのは彼女たちの記憶力です。路線バスといってもかなり長距離を走り、停留所毎にお客の乗り降りも激しいのですが、一度料金を支払ったお客にまた切符を買えと言うことは絶対ありません。また停留所でバスの前後の乗降口からどっと乗り込んでくるお客から料金を取り忘れることも決してありません。

 バンコクの路線バスでもICカードの普及を目指しているのですが、見たところカードで払っている人はほぼいませんでした。こんなところはキャッシュレス社会になってしまった中国とは大きな違いがあります。

 一方、高架軌道線(BTS)ではICカードがかなり普及しているようでした。乗車するたびに券売機の前に並ぶのは大変なので15回回数券を買ったのですが大失敗。4日ほどの滞在期間では15回も乗車する機会がありません。有効期限も設定されているので、滞在最終日、切符売り場に並んでいた若者に「これまだ使えますのでどうぞ」と声を掛けてみました。笑顔ながら固辞されました。

 考えてみれば言葉の通じない外国人が差し出すカードなんて意味が分かりません。押し売り、あるいは残高ゼロのカードを売りつけるケチな詐欺師?と疑われたのかという気もしますが、そもそもタイの人々はプライドが高く、見知らぬ人から言われなき施しを受けることなど彼らがいちばん嫌うことだったに違いない、と自分の独善的、軽率な行為を大いに反省したタイ旅行でした。

本誌:2018年12月3日号 19ページ

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