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連載記事なんでもQ&A[知的財産]

結合商標の類似判断

 Q 当社は、商品「米」に商標「鬼たいじ」を付けて、数か月前から販売をしています。順調に販売していたところ、商品「米」に関する商標「鬼退治米」を商標登録している業者から、先日、使用中止を求める警告書が届きました。「鬼たいじ」と「鬼退治米」とは「米」の有無による違いがあると思うのですが…。

 A  前回(201804.09 No.2008)、商標同士の類否判断は、外観、称呼(読み)、観念(意味)等に基づき、両者の間で出所混同のおそれがあるか否かにより総合的に判断されることをご説明いたしました。「鬼たいじ」と「鬼退治米」とは、外観、称呼、観念のいずれも大きく異なりますので、互いに非類似の商標とされそうです。

 しかし、商標「鬼退治米」は、いずれも良く知られた語である「鬼退治」及び「米」が結合されたものと容易に認識できます。そして、「米」は、商品「米」の普通名称ですので、商品「米」が誰の商品かを示す力(自他商品識別力)が無いか又は極めて弱いものです。このため商品「米」に表示された商標「鬼退治米」を見たお客様は、「米」よりも「鬼退治」がはるかに重要であると考え、重要な「鬼退治」を記憶する可能性があります。この「鬼退治」を記憶したお客様が、数か月後に別のお店で、商標「鬼たいじ」が表された商品「米」を見ると、両方の「米」の出所を混同(両方の「米」が同じ業者から提供されている等)するおそれがあると考えられます。従って、商品「米」にいずれも使用する商標「鬼たいじ」及び商標「鬼退治米」は互いに類似し、貴社の商標使用行為は、相手方の商標権の侵害と判断される可能性がありますので注意が必要です。

 このように商標同士の類否判断は、商標全体で判断する全体観察のみならず、商標の一部だけを取り出して観察する分離観察を検討すべき場合もあります。商標の構成部分同士が、本件のように自他商品等識別力が異なる場合、構成上相違する場合(例えば、大小、色彩、書体、文字種類の違い等)、著しく離れている場合、長い読み(称呼)を有している場合、観念上のつながりがない場合等のように、各構成部分を分離観察することが取引上不自然であると思われるほど強く結合しているものでないときは分離観察を要します。

本誌:2018年5月21日号 26ページ

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