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イタリアへの旅(1)

 カナダ旅行が思いの外楽しく有意義だったので、旅に出る感覚を忘れないうちに次の目的地を探しました。2001年以来出掛けることがかなわなかったヨーロッパ、その最初の訪問地はイタリアの首都ローマです。

 もうかれこれ50年も昔のことになりますが、本業の心理学の勉強はそっちのけで日々映画三昧の学生生活を送っているうちにイタリアにはまってしまいました。大学ではイタリア語のクラスにも顔を出すようにし、イタリア語会話もイタリア人の先生からみっちり教えてもらいました。

 しかしその後の人生では特にイタリア語に関わることもなく、たまにオペラやカンツォーネを聞くとき「ああ懐かしい!」と思うぐらい。しかし人生も終盤に入り残り時間が少なくなってきたことを体の不具合を通じて思い知らされることしばしばのこのごろ、昔愛したものを今一度ゆっくり味わいたいと思うことが次第に多くなってきました。

 今回の旅行では改めて青春時代に熱狂したイタリアなるものの本質をわずかでも垣間見ることができたらいいなと願っています。昔取った杵柄ではないですが、今も頭の片隅に残っているイタリア語の知識が今回の旅を実り豊かなものにしてくれるものと信じています。

 さて往復の航空運賃とローマ4泊のホテル代の合計額がわずか7万円にも満たない旅ですが、飛行機に命に預ける点に関してはエコノミーの席もファーストクラスのリッチな席も同じこと。10何時間かのフライトで10数年間「行きたい、行きたい」と夢見てきたローマに到着してしまうのはワクワクです。

 ローマではこれまで一度も訪れたことがないボルゲーゼ美術館だけは外せないと思い、ネットで入館の予約を取りました。カラヴァッジョのコレクションではイタリア随一の人気美術館で、現地では当日券は販売していないという情報です。

 初めて開いた旅行サイトに個人情報だけでなくクレジットカードの番号やセキュリティコードまで、おっかなびっくり入力しつつ、ネット時代の旅では避けては通れないスリル満点の手続きを盲信して旅の準備が進みます。ときにはネット社会にだまされます。でも昔の5分の1の費用で旅行できるようになったのもこれまたネットの産物。まさに痛しかゆしです。

本誌:2017年11.27号 15ページ

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