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相変わらずの中国式接客サービス

 1年ぶりに上海に行ってみました。高松空港から春秋航空を利用したのですが、高松駅で空港行きのバスに乗った瞬間そこはすでに中国でした。中国人の観光スタイルも以前の送迎付き団体旅行から個人主体の旅行に切り替わっているようです。

 見れば乗客の8割方は中国人旅行者でバスの車内は騒然。前の方の席に座った人と後ろの方に座った人が怒鳴り合いのような会話を始めます。話の内容を他人に聞かれることに無頓着な点が日本人と大違いです。私の横に座っていた日本人のおじさんがしきりに「うるさい」を連発するのですが、そこはいかにも日本人。つぶやくような声でいくら抗議しても通じるはずがありません。

 空港バスの中だけでもうんざり、なんだか希望のない旅立ちです。今からの3日間をギスギスした人々であふれかえる上海で私も旅行者なりに生存競争に勝っていかないといけないと思うと心が萎えました。年を取ってきたせいかよその国のいいところより不快なところばかりが気になるようになるものです。

 豫園(よえん)は上海随一の観光スポットですが庭園としては今一、むしろ周囲に広がる豫園商城の規模とにぎわいの方にだれもが圧倒されるでしょう。庭園見物もそこそこに名物の小籠包を立ち食いしようと、とある店に寄りました。「お代は前払い」と書いてあります。ところがレジのおばちゃんは接客の仕事そっちのけでスマホに夢中です。声をかけても無視するので、50元のお札でおばちゃんの視線をさえぎったら、私をにらみつけレシートとお釣りの30元を投げて返しました。

 庶民的な場所だけでなく、空港やホテルの対応も似たり寄ったり。帰りの空港チェックインカウンターでは、長い順番待ちの果てにようやくたどり着いた私の目の前で服務員はスマホでメールを打っていました。

 それでも若者が経営しているカフェや個人経営の店などに入ると日本とほぼ同様の接客をしています。要するに雇われて働いている労働者にとって“サービス”などという概念は理解を超えているのでしょう。そんなことに気を使っても1元も給金が増えるわけではないですから。

 日本ではモンスター消費者対策もあってますます過剰な接客サービスに従業員が疲れていないでしょうか。たまには中国式もいかがでしょう?

本誌:2016年11.28号 17ページ

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