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ブランド調査3

 企業の持っているブランドの価値はどのように計測すべきなのであろうか。基本的な方法は4つあると一般的に言われている。一つは現在の市場シェアや売上を達成するにはどのくらいのコストがかかるかを計算する方式である。非常に大雑把な言い方をすればある限定された地域で知られているだけでなく全国的に知られているブランドにするためには商品開発費、営業費、広告宣伝費など最低でも日本の場合1000億円程度必要であると言われている。高級ホテルや旅館の宿泊予約サイトの会社である㈱一休(http://www.ikyu.co.jp/)は1998年の創業であるが、10年ほどかけてナショナルブランド化を遂げた。直近で時価総額は800億円くらいであり、前述の1000億円という理論に大枠で合致する。

 もう一つの方法は代替コストで推測する方法である。似たような業態の会社から推測してその価値を割り出す方法である。岡山に本社のあるSPAのファッションブランドである㈱クロスカンパニー(http://www.crosscompany.co.jp/)は来年度上場を目指している。2014年度の売り上げは1103億円である。似たような業態の㈱しまむら(http://www.shimamura.gr.jp/)の直近の時価総額は4500億円であり、売り上げは約5100億円である。クロスカンパニーはしまむらの売り上げの約25%である。この25%を時価総額に当てはめればクロスカンパニーの想定されるブランド価値は1125億円となる。資産状況やキャッシュフロー、成長性など多くの点を考慮しなければならないので必ずしもこの通りにはならないが一つの方法ではある。

 第3の方法は時価総額をベースに計測する方法である。先ほどのように企業の時価総額は企業の持つ純資産やブランドの価値を含んだものと考えられる。疑似的に時価総額がその企業のブランド価値であると見なすことはそれほど大きな間違いではない。ただ、多くの有力なブランドを所有する企業にとっては価値が低くなる可能性もある。例えば、ロレアルはランコム、イブサンローラン、メイベリンなど多くの有名なブランドを所有している。これらの価値を別々に評価すれば恐らく現在のロレアルの時価総額より高くなる可能性が高い。

 第4の方法は将来利益の予測を現在価値で計算する方法である。一般的にディスカウント・キャッシュ・フロー(DCF)と言われる。この方法の難しいところは将来の利益が実際にどれくらいになるか予測することが難しい点にある。企業の買収の時もこのDCFが使用されるが、売る方は高い利益を予想し、買う方は低い利益あるいは固めの利益を予測することになりせめぎあいが生まれる。

 世界的に有名なブランドコンサルティングのインターブランド社は1974年にロンドンで創設された会社である。このインターブランド社は
① 「企業が生み出す利益の将来予測」
② 「利益の内のブランドの貢献分」
③ 「ブランドによる利益の将来の確実性」
の3つの軸から価値を計測している。これら3つをインターブランド社は次のように説明している。

 「企業の生み出す将来利益」とは「ブランドが冠された事業の現在及び将来の収益を予想します。そして、その売上から営業費用、税金、そして投下資本に応じた資本コストを差し引き、将来の経済的利益を算出します。本分析は公開されている企業情報を基にしており、将来予想は、アナリストによる業績予想をベースとしています。」

 「利益の中のブランド貢献分」とは「財務分析で算出された将来の経済的利益のうち、ブランドによってもたらされた利益を抽出するために、ブランドがどの程度顧客の購買意思決定に影響を与えているかを分析します。」

 「ブランドによる利益の将来の確実性」とは「ブランド力の分析は、市場でのロイヤリティ(顧客の忠誠度)、消費者の継続購入や囲い込みといったクライアントのニーズを喚起する力(将来の収益を維持する力)を測り、ブランドによる収益を割り引いて現在価値に換算するものです。」

 つまり、簡単に言えば①将来の業績(利益)予測、②ブランドの貢献度、③ロイヤルティーなどを勘案してブランド価値を計測しているということになる。調査開始以来13年連続してトップブランドだったコカコーラは2012年にアップルとグーグルにトップの座を明け渡した。時代の大きな変化である。

本誌:2015年夏季特別号 35ページ

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