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連載記事人材育成のタネ 19

重要なのは「巻き込まれ力」

  • 竹本幸史氏

 最近、企業を訪問すると、「巻き込み力」という言葉をよく聞きます。これは現在、リーダーに求められる能力の1つになっています。簡単に言えば、部門やプロジェクトをうまく推進するために、メンバーを巻き込むことです。「個からチームへ」という時代の流れの中で、その必要性は増しています。

 今、企業はリーダーに対する「巻き込み力」の強化に熱心です。確かに、リーダーがそうした「巻き込み力」を身に着けることは、組織にとって大変有益ですが、リーダーにだけチームを形成する責任を負わせてよいのでしょうか?

 私は今の職場において、決定的に弱まっている力があると考えています。それは「巻き込まれ力」です。組織での取り組みや新たな経験をすることに、メンバーが自分から積極的に巻き込まれていく力が弱まっているのです。社員は、やりたくないことや興味がない仕事を断る権利が強くなりました。社員が権利行使をしたら、嫌がることを強制しにくいマネジメント環境になっています。参加の意思は自由という場も増えました。自由だから、自分の成果に直結しないことには参加しないと考える社員も増えています。このような環境下だと、その職場でリーダーにだけ「君の巻き込み力でうまくチームを作り上げなさい」と言っても、現実問題として難しいものがあります。
 
 そもそもチーム形成は、協力によって成り立つものです。リーダーが「巻き込みの責任」を負うのであれば、メンバーも「巻き込まれの責任」を負うのが必然です。小さな積み重ねでも、10年、20年も経てば大きな差になります。入社3年でこうした「巻き込まれ力」から発生する習慣を失えば、何年経っても3年目の経験能力でとどまってしまうこともあるのです。

 リーダーだけにチーム作りの責任を負わせるのではなく、自分の意識や行動そのものが「良いチーム作り」において大切な意味を持つことをメンバーの責務として自覚する。そして、その能動的な「巻き込まれ力」は経験として自分の成長にはね返ってくるのです。また、経験を成長につなげるためには、それが良質な経験となるように、考えて仕事をする意識をしっかり持つことが重要です。意識と行動は、職場やあなたを変えることにつながるのです。

●竹本幸史● 元㈱リクルート岡山支社長。現在は人材育成を主としたコンサルティング業務の㈱SWITCH WORKSを立ち上げ奔走中。くらしき作陽大の非常勤講師も務める。またリーダー養成スクール「法人会員制・定額制ビジネススクール」を開講中。

本誌:2015年7.6号 12ページ

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