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ブランド調査1

 ブランドが消費者の心の中にあることについては既に述べた。多くの優れた商品の中で消費者の心に残るのはほんのわずかであり、それがブランドとなり、継続した購入率(リピート率)に結び付く。まさにブランドとはこのリピートがあるかどうかにかかっている。顧客生涯価値(Life Time Value=LTV)とはこのリピートが一生続くようにマーケティングを展開すればどれくらいの価値があるかということになる。

 ブランド論の教科書でよく取り上げられるのはレクサスのケースである。レクサスは大体5年で新車に買い替えられる。年齢が40歳とすると60歳までの20年間に4回の買い替えが行われることになり、一回当たりの購入金額を1000万円とすると、この顧客は4000万円のLTVをもつことになる。高価な耐久消費財ではなく非耐久消費財でも同じ理論が成り立つ。一回当たりの商品価格が仮に500円のシャンプーとしても、2カ月に1回購入すると年間6回の購入になる。レクサスの購入は高額所得者に限定されるが、非耐久消費財の場合レクサスのような高額所得者を含む多くの一般消費者が対象となる。

 シャンプーの場合、車と異なりもっと高齢期まで使用が継続すると考えられるので、20年ではなく40年くらいを想定しても問題はないと思われる。そうするとこのシャンプーの顧客生涯価値は12万円となる。日本の世帯数が仮に5000万とすると、その内の1%を取っているブランドでも50万世帯になる。年間売り上げは1億5000万円、40年の顧客生涯価値の合計は60億円となる。

 確かに顧客をこのように長きに渡り継続させるにはコストもかかるが、ブランドを核とする経営戦略ではこのLTVこそが中核となる。アメリカの調査結果ではあるが、一旦No.1として認知されたブランドは数十年経過してもやはりNo.1を維持していることが実証されている。

 ブランドについて語るのであれば取り敢えず自社のブランドの認知度がどのようになっているのか把握しなければならない。市場は必ずしも日本全土でなくても岡山市でも全く構わない。対象商品についての認知度が把握できていない経営者にブランドを語る資格は全くない。昨今「地方創生」が叫ばれているが、地方が自立するためにはその地方がしっかりした経済基盤があり、かつ、全国的に認知されて初めて成り立つ。2013年の京都市の観光調査によれば5162万人の観光客が京都を訪れている。その内1308万人は京都に宿泊している。京都は日本人のみならず世界中の人々が訪れたい観光地であり、高い認知度を獲得している。従って、繰り返し訪れる観光客も非常に多いと考えられる。

 地方の活性化のために「ゆるキャラ」が創られ、日本全国で恐らくこの「ゆるキャラ」のない地域はないと思われる。しかし、日本リサーチセンターの調査(2014年6月)によれば、
1位:くまモン /熊本県
2位:ふなっしー /千葉県船橋市(非公認)
3位:せんとくん /奈良県
4位:ひこにゃん /滋賀県彦根市
5位:ちっちゃいおっさん /兵庫県尼崎市
恐らく4位まではご存知の方も多いと思うが、5位の「ちっちゃいおっさん」となると多くの方は知らないのではないかと思われる。6位以下については地元の方以外は想像もすることすら難しい。いずれにしても、同じことをしていてもなかなか競争に打ち勝ち認知を取ることは難しいと言える。

 繰り返すが、ブランド戦略では認知を押さえることが第一である。これなしにブランドは語れない。このことは強調しても強調しすぎることはない。そして、次にはトライアル率をしっかり把握することである。トライアル率とは対象ブランドあるいは商品を実際に一回でも購入する率のことを言う。トライアル率が高いがリピート率が低いという場合があるが、これは新規性はあるが、あまり好まれない場合に多く見られる。トライアル率が低くてもリピート率の高い場合が考えられるが、この場合商品を維持するコストとの関係で見直しが必要となる。ある一定程度のトライアル率を超えないとリピート率も上がらない。トライアル率の次はリピート率である。消費財にとってこのリピート率はクリティカルである。BtoBにとってもこのリピート率が非常に大切であることは言うまでもない。

本誌:2015年6.1号 31ページ

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