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ブランド・ロイヤルティ2

 ロイヤルな顧客かどうかはどのように判断すればよいであろうか。しばしみられることであるが、自社の顧客はだれなのかあまりよく理解していない場合がある。例えば、自社がホテルを経営しているとして、最上顧客の100人の名前と顔がすぐに想起できるであろうか。一体顧客はどこから来て、どんな職業で、何が好みで、何を目的にこのホテルに来たのか、等々把握できているだろうか。

 お寺は檀家が300軒あれば経営が成り立つと言われる。一般的な開業医は患者が3000人いれば経営が成り立つと言われる。お寺の場合はお盆などの定期的な檀家訪問によるお布施に加えて法事や葬儀などの収益がある。患者が病気になる確率は低いので、開業医はある程度の患者数がいないと経営が成り立たない。

 大切なことは顧客とどれくらい親しい関係になるかである。顧客との親密な関係をカスタマー・インティマシーと言うが、どれくらい顧客のことを知っているかは経営の基礎の基礎である。

 東京ビッグサイトでは多くの展示会が開催され岡山の企業も多く参加している。この展示会に出展し直接商談に結び付かなくても、少なくとも50~100枚の名刺交換をするであろう。では、この50~100枚の名刺をどう生かすのか。ある企業で話をお聞きしたらそのままにしているとのことであった。こちらから積極的にコンタクトすることを良しと思われなかったようである。

 しかし、この名刺は「宝の山」である。無理やり自社の商品を売り込むことはよくないとしても、少なくとも自社の商品に関心を持ってもらい、仮に一部としても商品を見てもらったのであるから、できれば手書きの礼状を出しておいても失礼にはあたらない。印刷機が進歩したので、簡単にパソコンで書面を作成し印刷することも多いと思うが、ここは真心を込めて手書きが一番良い。字の上手い下手は関係ない。要は真心が伝えられるかどうかである。

 次に、良い季節を選びこれらの潜在顧客を自社の見学会に招くのも良い。実際にお越しいただければかなりの確率で商談に結び付くはずである。それぞれの企業には素晴らしい伝統と理念がある。素晴らしい商品に加えて長年培ってきた企業文化を見ていただくことも非常に大切である。

 ある程度ビジネスの関係ができた段階では岡山の名産を贈ってもよい。白桃、マスカット、自然薯、コメなど顧客に喜ばれる名産が岡山にはたくさんある。マーケティングの4Pは機能しなくなったなどと言われるが、それは間違っている。アイデアは無限であり、仮に4Pが機能しないのであれば、それはアイデアが枯渇しているからである。先ほど手書きの礼状について述べたが、では、その紙はどのような紙にするのか、大きさは、ペン書きか、筆書きか、封筒はどうするのか、また、切手はどの切手にするのか、選択は無限にある。文化度やセンスが問われる。

 顧客作りの基礎は相手にいつも「ボール」を返しておくことである。錦織選手は日本人として初めて世界ランキングのトップ5位にランクされた。彼のサーブやスマッシュは素晴らしいが、顧客作りでは必ずしも強いサーブが必要なわけではない。相手から手紙やメールで問い合わせや連絡があった場合、必ず相手に答えを返しておくことである。人の心理は面白く、絶えず返信を返されている場合には、何となく心に残り何かしなければと思わせるものである。簡単なメールや手紙でもよいが、とにかく相手に必ず「返信をしておくこと」、これが顧客作りの基礎である。もちろん相手の要望について時を置かずに的確に回答することも重要であるが、日常「絶えず相手にボールを返しておくこと」を心掛けてみてほしい。きっとそこから何かが生まれてくるはずである。

本誌:2015年3.2号 19ページ

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