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変わりゆく上海

 年末に4泊5日で上海に行ってきました。昨年の春節(旧正月)に訪れて以来ほぼ1年ぶりの中国旅行でした。

 日中間に不協和音が漂う中なぜ上海へ行ったのかというと、ニュース映像やワイドショーを通じて接する中国のイメージは果たして今の中国の市民生活や感情を正確に反映したものかどうか、また自分の中に徐々に育ってきている中国に対する憎悪(ヘイト)の感覚は根拠があるものかどうなのか、疑問に思えることが多くなってきたからです。

 結論からいうと上海の市民意識(いわゆる民度)は1年前に比べびっくりするぐらい良くなっていました。ところかまわず大声でしゃべる人が少なくなりました。地下鉄車内が静かになったこと、ある程度降りる人優先になってきていること、整列乗車が見られるようになったこと、車内で営業する親子連れのものもらいが姿を消したことが印象的でした。

 大衆食堂では一人一人の食器セット(コップ、皿、茶碗)があらかじめプラスチックで厳封されたものがテーブルの上に用意されています。B型肝炎撲滅のために衛生当局が食器を清潔に保つよう指導しているものと想像します。箸とお手拭きも密封されたものが出されます。

 また道路に痰を吐いたりごみをポイ捨てする人がまれになり、以前は歩行者をはね飛ばす勢いで交差点に突っ込んできていた車が歩行者に気を使うようになっていました。このように、百年経っても変わらないだろうと思われたかつての劣悪なマナーが短期間にずいぶんよくなっているのには本当に驚かされました。

 豊かになったせいで人々の心にもゆとりが出てきたのでしょう、微笑み、はにかんだ様子、申し訳なさそうな顔……これらは伝統的な中国人のイメージをひっくり返すものですが、随所でそういう心温まる表情に出会いました。

 国際政治や外交世界での無礼なふるまいは国家の戦術であって必ずしも市民の感情ではないのにマスコミはそうしたことは伝えてくれません。私自身、中国がこんなにもスピード感をもってマナー向上に努めていることは予想もしていませんでした。

 今年はこのところ中断していた中国語の勉強を再開して上海以外に、西安や北京、内陸の自然が美しい町にも出かけてみようと思います。

本誌:2015年1.1号 94ページ

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