WEB VISION OKAYAMA

連載記事

[知的財産]  既に販売した発明品の特許取得

弊社社員が発明した弊社製品を約3 ヶ月前から販売しています。この製品の人気がよいので特許をとりたいのですが、もう販売した製品の特許は無理なのでしょうか。

A : 新規性喪失例外規定適用を検討

特許出願時においてこれまでない新規な発明( 技術アイディア) に特許権は与えられるものですので、既に販売等して新規でなくなった発明に関し、これから特許出願をしても原則としては特許を受けることはできません。しかしこの原則を徹底すると、発明者に酷になったり、産業発達( 特許法目的) に円滑に寄与できないこともあります。

そこで、所定条件下で発明を公開した場合、公開によって発明が新規でなくなったこと( 新規性喪失) をなかったことにする例外規定( 新規性喪失例外規定) が特許法に設けられています。この適用要件は次の通りです。

( 1 ) 特許を受ける権利( 以下、「権利」) を有する者の行為に起因して発明が公開されたこと( 刊行物発表や発明完成試験等のように以前は限られていた対象行為が、平成2 4 年4 月以降の特許出願では大幅に拡大されました。)。

( 2 )( 1 ) の公開日から6 月以内に特許出願すること。

( 3 ) 特許出願時にこの例外規定の適用を受けることを特許願に記載等すること。

( 4 ) 特許出願日から3 0 日以内にこの例外規定の適用要件を満たすことを証明する証明書面を提出すること。貴社従業員の発明に係る権利は元々その従業員に帰属しますが、その権利がその従業員から貴社に譲渡された後に貴社が製品を販売( 公開)したような場合であれば、( 1 )は満たされますので、今後、( 3 ) 出願時にこの例外規定の適用を受けることを特許願に記載して( 2 ) 最初の販売日から6 月以内に出願し、( 4 ) 出願日から3 0 日以内にこの例外規定適用要件を満たすことの証明書面を提出すれば、貴社製品に関し特許を受ける途が残されます。

しかし、この例外規定は出願前の発明公開事実を例外的に無かったものとするだけで、貴社出願までに第三者が同じ内容の出願をしたり公開した場合には貴社は特許を受けることができません。更に、上述の通り厳しい要件が課されることもあり、( 今回は仕方ありませんが) 特許出願前の発明公開は原則としてお勧めしません( 特許出願後に公開するのが原則です。)。 

笠原特許商標事務所
弁理士・所長
笠原 英俊氏
岡山市北区野田2-7-12
TEL086-245-0440

本誌:2013年6.3号 29ページ

PAGETOP