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ネット通販

 日常生活にインターネットが深く関わっているこのごろ“アマゾン”という言葉を聞くと、多くの人はブラジルの熱帯雨林を流れる大河をイメージするのではなく、通販大手のAmazonのことを連想するでしょう。

 私はこうした通販業者から主として書籍とDVDを購入していますが、店舗を構えた書店やCDショップではとうてい望めない、ほぼ完璧な在庫に舌を巻くばかりです。

 大型書店の店頭でも見つからない出版後10年から15年が経過した本でもAmazonで探すと新品で入手できるものが案外たくさんあります。たとえ新品は絶版になっていても同じ画面をクリックすれば古書のリストが現れるので、今のところ入手不可だった書籍はありません。

 図書を探す時間が節約でき、書店に行く手間も省略でき、2、3日中には宅配されるネット書店にいったい既存書店はどう対抗するのでしょうか。

 大型書店が地域に果たしてきた文化的役割は非常に大きいのですが、やがては地元の小さな本屋さんが大手に呑み込まれたように大型書店もネット書店によって淘汰されていくのでしょう。町から書店が消えていくのは悲しいことですが時代の変化に感傷的になっても仕方ないことかもしれません。

 書物というモノを売るのが書店ですが、時代はさらにすすみ日本でも電子書籍が次第に拡がってきています。私自身、本は本として読みたいので電子書籍を購入したことはありません。しかし日本の古典や洋書で必要な個所を手っ取り早く参照したいときなどはテキストを検索することがあります。すでに相当な書籍がテキスト化されているのに驚きます。

 しかし恐い側面を忘れてはいけません。モノの購入にしろ“情報”の購入にしろネット通販の威力はとても大きい反面、客の個人情報や消費行動パターンは通販業者にびっくりするほど正確に把握されています。

 敵は「この本を買った人はこんな本も買っています」などという殺し文句とともに、人様の心の中をズバリ見透かしたような本を紹介してきます。これには抵抗できません。

 大型書店をハシゴして足が棒のようになってもロクな本に巡り会わないのに、コンピューターは人の心を読んでいます。検閲は憲法によって禁止されていますが、機械には許されているのでしょうか。

本誌:2012年夏季特別号 16ページ

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