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貿易赤字転落

 戦後奇跡の大発展をとげた日本経済ですが、バブル崩壊以降すっかり潮流が変わってしまいました。小手先の経済刺激策が取られるたびに市場はいっとき小康状態になるもののそのあと必ず冷や水をぶっかけられ青息吐息になるのが昨今の情勢です。

 ライブドアショック、リーマンショック、ギリシャの破綻、ユーロ危機、東北大震災、タイの洪水、マニフェスト違反の消費税増税議論、イラン制裁に伴う原油不足……。

 これだけジャブを浴びせかけられてもなお高い技術力神話に支えられてきた日本経済は今しばらくもちこたえるのではないかと楽観的だった私も、貿易収支が31年ぶりに赤字に転落したというニュースを聞いては楽観論を引っ込めざるを得ない気分になりました。

 思い返せば、大学生活を終えそろそろ就職しないといけないなと考えはじめていた1972年ごろ、欧米ではすでに週休2日制が定着し、ヨーロッパではだれでも夏のバカンスの4週間5週間を海や山で楽しむのは当たり前でした。実際真夏のパリでは商店やレストランが軒並み閉まっているのに閉口したものです。「バカンス中につき休業、9月15日から再開します」などという“ちばけた”張り紙が誇らしげにドアに貼られていたものです。

 そのころ日本はどうだったかというと、4週5休とか隔週土曜日を交代で休むなどというけちくさい“週休2日制”が試行され始めたころで、まさかその後完全週休2日制が企業だけでなく学校にまで及ぶとは夢にも思っていませんでした。

 しかし、週休2日制が定着したころから日本が根本的に変質し始めたような気がします。かつて効率よく外貨をかせいでいた製造業が斜陽化し、代わって旅行、飲食、通信、ゲーム、大規模小売業、医療・介護、冠婚葬祭など消費・サービス型産業がメーンになってきました。

 学校教育も大学進学率は増えても大学生の学力水準は低下する一方です。学校教育から競争性を排除した“ゆとり教育”の最大の被害者がほかならぬ東京大学で、今ごろあわてて9月入学を実現して国際水準に追いつこうとしていますがどうでしょうか。モノづくりをやめ教育にまで“ゆとり”などという低い目標を設定してやってきたあげくの果ての貿易赤字転落は歴史の必然です。

本誌:2012年2.6号 13ページ

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