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タイで風邪を引く

 今年はインフルエンザが大流行しているわけでもないのに、知り合いに風邪引きが多いことに気づきました。風邪を引いている友人たちはそろって医者嫌い。罹ってから1カ月も長引かせていること、みんな60代半ばという共通点があります。電話口から彼らの鼻声が聞こえてくると私は口を酸っぱくして、医者へ行け、それも内科より耳鼻咽喉科の方がいい、とアドバイスしています。

 そういう私も正月明け、たまの息抜きにと思って出かけたバンコクで風邪を引いてしまいました。熱帯のバンコクでは商店もホテルも冷房がよく効いているのですが、その冷やし方が半端じゃありません。とりわけマッサージ屋では冷房を思いっきり効かせていて、いくら「寒い」と言っても聞き入れてもらえません。

 確かに文句を言ったときは温度を上げたりスイッチを切ってくれるのですが、すぐにまた冷房が最強になっています。それはそうでしょう、こちらはほとんど裸で横たわっているだけなのにマッサージ師は大変な重労働で施術中暑く感じるのは当然です。強ばった筋肉をほぐしてもらうためのマッサージなのにかえって自律神経失調症になりそうです。

 同じマッサージでも王宮前広場の緑地などで営業している青空マッサージはとても快適。中年のおばさんがゴザをひろげて観光客に声をかけています。清潔感に多少欠けるものがあるとはいえ涼しい風が通り抜けていく芝生の上のマッサージは極楽です。お値段は1時間100バーツ。たったの250円です。

 それはともかく90分の極寒マッサージから解放されるころには体は芯まで冷え切って何かやばい感じがしました。こうなっては舌がしびれるようなグリーンカレーを食べ、トウガラシで赤く染まったトムヤンクン(スープ)を流し込んでタラタラ汗をかいても手遅れです。

 風邪は体の中に蓄積した矛盾を解消するために体が必要としているプロセスなのでときおり風邪を引くことは健康な証拠だという説を聞いたことがあります。そういう意味では私の友人たちのように風邪と1カ月付き合ってもいいのですが、在宅介護をしている身としては超高齢者に風邪をうつすことは避けなければなりません。毎年1度か2度必ずお世話になっている耳鼻科の先生にこれから診てもらうことにします。

本誌:2012年1.23号 16ページ

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