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カリカリ・ベーコン

 当たり前のことですが、町の肉屋さんでは日常食べる食肉は牛、豚、鶏(トリ)など種類を問わず扱っています。ところが学生時代、初めてフランス文化に接して、どうもフランスには日本のように一口に肉屋と言ってしまえるような店がないのではないか、ということに気付きました。

 教育熱心で怖いフランス人の女性教授が私にフランス語で質問しました。「牛肉はどこで買いますか?」…「デパートで買います」。マダムの顔が一瞬歪み「牛肉を売っているのは“ブシュリー”です!」と厳しく訂正されました。

 後年フランスに行って先生が言おうとされた意味がやっと分かりました。牛肉は“ブシュリー”(牛肉専門店)で売っていました。同様に豚肉および豚肉加工品を売っているのが“シャルキュトリー”です。

 最近では牛・豚の垣根は低くなっていると思いますが伝統的には牛肉屋と豚肉屋は店の雰囲気からしてまったく別物です。シャルキュトリーに入ると、商品の多彩さにまず感動します。

 生の豚肉以上に充実しているのが豚肉製品。ハム、ソーセージ、ベーコン、パテ、その他もろもろの日本の肉屋では見たこともない加工品が、このうえなく洗練されたディスプレーで売られています。

 私はフランスに行くと肩の凝るレストランで一人寂しく食べるより、市場でハムやソーセージ、チーズ、パンそれにワインを買いこんでホテルの部屋で食べるのが大好き。正味で本場の食文化の奥深さを味わえます。

 最近では日本でも地産地消ブームですばらしい豚肉加工食品が通販等で手に入るようですが、私はベーコンだけは函館の「カール・レイモン」から離れられません。ベーコンをカリカリになるまでこんがり焼いて朝食に食べる幸せ!(普通のベーコンはカリカリにならずべたつくのです)

 まもなく菜園のアスパラガスが芽を出します。もぎたてのアスパラガスをベーコンと炒めて食べるのは最高の春の贅沢です。(カール・レイモンのベーコンは岡山市内の老舗デパートで扱っています)

本誌:2010年4.5号 14ページ

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