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「世も末」

 6月4日、岡山市内で愛媛県警巡査部長がひったくりをし、関西高校の生徒2人が犯人を取り押さえるという事件が発生しました。

 NHKの全国ニュースでお手柄の高校生がインタビューに答えて「世も末だと思いました」(伊井飛鳥君・高3)と言ったときは思わず笑ってしまいました。老成しすぎです! いつもはまじめ腐った顔でニュースを伝えるNHKの登坂アナも心なしか微笑んでいるように見えました。

 ところで2人の高校生が大活躍した今回の事件を報じる新聞やテレビがそろって「犯人を取り押さえた」、「逮捕に協力した」などと表現していることが気になります。高校生の行為は「取り押さえ」とか「協力」というより逮捕そのものでした。いわゆる私人による逮捕です。(刑事訴訟法第213条)

 マスコミはこのような機会を捉えて、民間人でも現行犯は逮捕できることを報道・解説してもらいたいと思います。

 私がなぜそんなことにこだわるのかというと、裁判員制度が始まり我々一般市民も人がどのような手続きで逮捕・起訴され裁かれるかについて、自分を守るためにも最低限の知識や常識を備えておく必要があると思うからです。

 例えば、頻繁に起きる痴漢えん罪事件。いきなり女性に腕を捕まれ、「この人痴漢です!」と言われる。警察署に同行して無実を訴えようとしてもそんなことは通じません。なぜなら女性に腕を捕まれた時点ですでに現行犯逮捕されているわけですから、それを後で否定することは本当に困難です。
  
 話は高校生に戻りますが、本当に勇気ある若者達です。「世も末」というより「末恐ろしい」2人。ただ、犯人の警官がピストルを持っていたとしたら…寒気がするような事件でした。

本誌:2009年6.22号 12ページ

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