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預金解約

 相変わらず振り込め詐欺の被害にあうお年寄りが後を絶ちません。きょうもNHKの“ニュースウォッチ9”でいとも簡単に1200万円取られたお年寄りのことを取り上げていましたが、お年寄りとお金の関係はつくづく難しいものです。あればあったで、なければなおいっそう。

 パーキンソン病と認知症で寝たきりになってしまった母の休眠口座(普通と定期)をいつまでも放置しておくわけにいかないので、ついに解約することを決意し銀行に出かけました。

 息子の私ではすんなり行くとは思ってなかったけど、ベテラン女子行員の言葉は想定外でした。「お母様以外のだれも、つまり夫であれ子供であれ、普通預金口座を解約して全額引き出すことはできません」と。

 「預けるときは、ペットの名前でも揉み手しながら受け入れたくせに、、、それではそのお金を持ったまま死んで、その後に相続の手続きをする以外方法はないのですか」と半ばやけくそで言ったら、「銀行としてはそれがベストと考えます」とのたまいました。

 50代、60代の人が「老後のために」と思ってせっせと預金をするのは日本人の美徳ではあるのですが、老いは思いのほか早くやってきて、やがては自分のお金を銀行から取り戻すことさえできなくなります。

 結局のところ、この銀行は建前のガードの固さとは裏腹に定期預金の解約には応じてくれました。平成13年に母が預けた50万円の利息はたったの1937 円。私が母の子であることを立証するために取り寄せた戸籍謄本代が450円。長い歳月の空しい結末です。

 「お母様に何かおいしいものでも買ってあげてください」とはベテラン女子行員のお言葉でしたが1500円足らずの利息ではねえ。

本誌:2009年1.26号 14ページ

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