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一粒万倍日

 カレンダーに“一粒万倍日”と書かれた日が毎月あります。この日に種をまくと1粒の種が1万倍になるといわれています。実証精神の旺盛な私のこと、実際に植物の生育を見守って結果をカウントしてみました。

 対象はゴマ。ゴマは成長すると1mぐらいの高さになり、根本から先端に向かって順番に花が咲きます。白くて筒状のかわいい花です。花が咲いたあと、莢(さや)ができ、1つの莢は4つの部屋に分かれていて各々の部屋には20粒のゴマがぎっしり。つまり1つの花からゴマが80粒前後収穫できる勘定になります。

 花の総数は120ぐらいですから120×80=9600。みごと理論上は万倍になりました。

 さて、畑で刈り取ったゴマは根本近くの莢はすでに完熟していてはじけています。貴重なゴマをなるべく落とさないように気をつけながら庭に広げたシートに並べ天日に干し、毎日1回たたいてゴマを莢から出します。それを集めてごみを風で飛ばし異物を取り除き、水に漬けて中身が空のゴマを浮かせて除去。そしてまた乾燥…と際限のない作業を繰り返してできた完成品が“洗いゴマ”です。

 こうしてできた自家製無農薬ゴマはたったの500g。播いた種は5gだったので、あれっ?計算が違う!万倍ではなく、百倍にしかなりませんでした。

 一方、500gのゴマを収穫するのにかけた労力は少なく見積もっても20時間は費やしたはず、時給1000円として2万円。どうやらコストだけはまちがいなく輸入品の万倍かかりました。

 なお、一粒万倍日は種まきや新規開店には吉ですが、借金をすると万倍になるので凶だそうです。

本誌:2008年10.6号 12ページ

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