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還暦同窓会

 自分が生まれ育った岡山市福田学区にある実家で親の介護に明け暮れる日々を送っていることは幸せなことかもしれません。でも生涯ずっとここにいたのかというとそうではなく、小学校3年の3学期が終わった直後、隣の妹尾学区に家中で引っ越ししました。

 引っ越した理由は、どちらも教師だった両親が兄と私を岡大附属中学校(附中)に行かせようと思ったのですが、当時附中の学区は旧市内、妹尾、吉備、中庄、倉敷に限定されていて福田学区にいては受験できなかったのです。

 そんな理由で生まれ在所を捨てた私はいつも地元の友達を裏切ってしまったという引け目があって還暦を過ぎた今でも幼なじみたちに会うのがやや苦痛なのです。

 しかし、そんなことを苦にしているのは私のひとり思い、先日河口メロン園の河口君から「こうちゃん、今度還暦同窓会するからこられー」とお誘いがありました。卒業していない学校の同窓会に出かけるのはいくらなんでも厚かましすぎるし、7歳から9歳までのたった3年間机を並べただけの旧友に50年ぶりに会うというのも何やら気恥ずかしいし大変勇気がいること。

 さんざん迷った挙げ句、欠席としたはがきを村の郵便局のポストに投函したところを偶然河口君に見つかってしまいました。「今欠席のはがきを出した」と言ったら、「おえん!はがきが届いたらこっちで勝手に出席に変えとく」と押し切られました。

 1学年100人前後でしたが40人も出席するとはすばらしい、地元で足を地につけて生きてきたみんなの顔が浮かびます。ただ日航機墜落事件で犠牲になったY君はじめ、がんや事故でなくなったものも何人かいるようで50年の歳月の長さを感じます。

 河口君によれば「還暦同窓会はまたの名を東山へ行く準備会」というそうです。(注:東山=岡山市の斎場があるところ)

本誌:2008年9.8号 16ページ

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