WEB VISION OKAYAMA

連載記事

アルジェリア紀行(8)

 子どものころから畑の野菜が育つのを観察したり、四季折々野原の草木が姿を変えるのを見るのが大好きだった私にとって、地中海沿岸地方は天国のようなところでした。

 2月ぐらいになると、見たこともない雑草に混じって日本でもおなじみのキンセンカやシュンギクが咲き始め、3月には桃そっくりのアーモンドがピンクの花をつけます。

 そして4月ともなると、みはるかす野原全体が深紅のコクリコ(ひなげし)、純白のマーガレット、そして豆科の黄色い花の3色で埋め尽くされます。広大なお花畑の真ん中にひらりと舞い降りた鳥は、生まれて初めて見るコウノトリでした。

 日曜日、会社の同僚達と近所の“ライオン山”にピクニックに出掛けました。ライオン山というのは金甲山ぐらいの小さな山ですが、大昔、ライオンが生息していたからそういう名前が付いたと地元の人から聞きました。

 ライオン山の山すそには“アスパラガスの木”があり、春には地元のオバサン達がその木を探して山に入ります。カラタチのようなトゲトゲの木なのに新芽だけは鉛筆のように真っ直ぐで、新芽をポキッと折って採取し、塩ゆでに。ネバネバ感があって最高に美味。

 山では天然の蜜蜂の巣を採集しているオジサンにも出会いました。話しかけたら、今採ったばかりの蜂の巣をナイフで切り分けて食べさせてくれました。その味はというともちろん“蜜の味”!

 山菜が採れ、イノシシがいて松茸も採れる山野は、何のことはない、日本の専売特許であるはずの里山が地の果てアルジェリアにもあったということです。

本誌:2007年4.9号 12ページ

PAGETOP