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北関東

 今年になって関東地方を中心におぞましい殺人事件が頻発しています。殺すだけでは足りなくて、遺体を食べたり、バラバラにして捨てたり、命の尊厳とか死者に対する畏怖などというものが、かけらも感じられない事件。しかも、近親相憎しみ合っての結末というところに社会病理の根深さを感じます。

 個々の事件は極めてパーソナルな人間関係のもつれに起因しているようで、それ故、週刊誌やワイドショーがセンセーショナルに取り上げても「神戸の少年A事件」の時のような世論の盛り上がりはありません。

 凶悪な事件が起きる、しかし、世間はもはやそんなことに注目するヒマもエネルギーもない…年寄りならずとも「世も末じゃ」と言いたくなります。

 それにしても、1972年の連合赤軍事件の時もそうでしたが、なぜか惨殺された遺体は赤城、榛名、妙義に埋められることが多いのはなぜでしょうか?

 学生時代、東京で足かけ5年暮らしました。しかし、その間、日光見物に出掛けたのが唯一の例外で、私はどうしても東京以北には出掛ける気がしませんでした。

 だだっ広い関東平野の北には何かしら西日本生まれの私の心を脅かす“気”のようなものを常に意識していたからです。

 「東京で不条理な殺人事件を犯した人は何ものかに操られるように北に向かう」、一連のバラバラ事件から私が引き出し得た教訓は谷川岳をはじめ北関東の山々は怖いということ。

 もちろん関東に深い縁のない西国人の偏見に満ちた印象ではありますが。

本誌:2007年2.12号 10ページ

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