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ナンテンの実

 晩秋の田舎道ドライブ。あちこちの農家の庭先には、たわわに実を付けたナンテンが夕日に赤く輝いて“けなりー(羨ましい)”こと、このうえないです。

 実家にも自然に生えたナンテンの株がいくつもありますが、なぜか田舎道で見かけるような、ふさふさの実がなりません。申し訳程度にパラパラっと赤い実が付いているだけ。

 どうやらナンテンの木は家の“格”を読んで築50年程度では歴史が浅いとバカにしているんじゃないか、などと勘ぐってみたり。

 そんなことをお隣の物知りおばさんに言ってみたら、意外なことを教えてくれました。「ナンテンの受粉はハエが行うので、花が咲くころ、イワシの頭を木にぶら下げておくといい」。

 さっそくナンテンの木にイワシを取り付けたら、なんとヘビがやって来てイワシの頭を丸呑みしているではありませんか。おぞましい光景が目に焼き付いただけで、結局、おばさんの珍説の真偽は分からずじまいでした。

 その後、ナンテンにも都合があるだろうと、気にしなくなったころから急にふさふさの実がなりだし、生家も歳月と共に風格が出てきたのかななどと思ったのは早とちり。3年前、ニワトリを飼い始めた結果、長年姿を見せなかったハエが復活したのです。

 “ハエ媒介説”が当たっているとしたら--、“難を転じる”めでたいイメージだけでなく、防腐剤代わりに赤飯にも載せたりする清楚なナンテンも、嫌われもののハエと手を組んでいるなんて、案外したたかな植物!と一層愛着が深くなりました。

本誌:2006年11.13号 12ページ

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