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うつぼ公園

 大寒のさなか、大阪市は靱(うつぼ)公園で暮らしているホームレスのテントを強制撤去しました。この時期に市が強攻策に出たのは、5月に開催される「世界バラ会議」のための会場整備がタイムリミットを迎えていたからです。

 靱公園は、都心にある中規模の西洋式庭園で、バラ園、テニスコート、野外ステージなどが巧みに配され、うっそうと茂る樹木が都会の騒音を遮ぎっています。公園の周囲はオフィスビルやマンション、素敵なカフェやレストラン、ホテル、料理店が適当に混在して、いかにも暮らしやすそうな街を形成しています。

 そういう珠玉の公園、春から晩秋まで数十種類のバラが馥郁と香るべき場所にホームレスのテントが林立しているとあっては、華やかなイベントを控えて行政がムキになるのもやむを得ない。

 強制撤去のニュースをテレビで見ると、大勢の人でもめていましたが、靱公園に住んでいるホームレスは10人足らず。市は昨年の10月ぐらいから何度も避難所へ移るよう説得してきたといいます。しかし、結果は今回の乱闘劇になってしまいました。

 ホームレスの問題は難しい、なにしろ男にとってホームレスとは、究極の理想の生活スタイルであり得るから。

 市が行政の都合を優先し、彼らの琴線に触れる説得をし得なかった以上、イベントが無事終了したあかつきには、また王宮の庭といっても過言でない靱公園に青テントが林立するでしょう。

 私もまた大阪に住むことがあれば、靱公園近辺がベストとあこがれの気持で公園の映像を見ていました。

本誌:2006年2.6号 12ページ

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