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余白の効用

 テレビの料理番組を見ていていつも感心するのは、盛り付けのうまさです。ところが高齢の両親宅に入れ替わり立ち代り来てくれるヘルパーさんにある共通点があることに気がつきました。みなさんそろって小さ目な皿に料理を山盛りにして食卓に出すのです。

 ところが視力も弱り、箸をもつのがやっとの母にとって余裕のない盛り付けをされた料理は食べるのが大変です。箸がうまく食べ物を捕らえることができないし、やっとつかんだ食べ物も皿の外に落としてしまう。箸を休める場所もありません。

 息子の私は新しいヘルパーさんがこられるたびに、「料理は一回り大きい皿に少なめに盛ってください」とお願いすることにしています。皿に余白があると見た目にもしゃれた感じがしますし、食べやすいのです。同じ量のおかずも盛り付けひとつで少なく見え、食べ残しも減ります。
 
 昨今の社会情勢をみますと、社会から「余白」や「無駄」なものがとことん排除されています。乾いた雑巾をさらにしぼるような合理化は会社組織とか役所内など小さな単位で見れば経営の効率化につながっているように見えます。

 しかし雇用機会の縮小は大量のフリーターを生み出していますし、ぎりぎりの人員で運営される病院では大事故が頻発しています。年間3万人もの自殺、凶悪事件の頻発も余裕を失った社会の副産物のように思えます。

 小さ過ぎるお皿に目いっぱい料理を盛ったものの、皿から取りこぼされた料理が無残にテーブルクロスの上に散らかっている、、、今の日本がこのような光景に見えてきます。        (康)

本誌:2004年1.11号 16ページ

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