WEB VISION OKAYAMA

連載記事スローライフ~午後4時の窓辺から~

悲しい老いの風景

 今まさに戦火を交えているウクライナとロシアの例のように、隣り合う国というものは仲が悪いものです。日中、日露はもとより、歴史的にはフランス・イギリス、フランス・ドイツなど枚挙にいとまがありません。これは個人においても同じことです。

 我が家の近所のセツコばあさん。私より数歳年上で若い頃から町内会やお寺関係の寄り合いでは何かにつけ仕切ろうとします。組合の人々は「かなわんなあ」と言いつつも、セツコばあさんは余所から嫁いできている割にはこの地域の風習をよく知っているうえに行動力もあるので、ばあさんの出しゃばりには対抗できません。

 ところがばあさんも齢(よわい)80を過ぎ、今年の正月明けごろ連れ合いを亡くし、数年前から始まっていた認知症がかなりひどくなってきました。以前からばあさんは、生活道路に面している我が家のブロック塀を覆い尽くしているツタの葉が道路に落ちるのが気になるらしく、ことあるごとに私に掃除しろと命令してきます。

会員申し込みはこちらから

本誌:2023年9月11日号 13ページ

PAGETOP