WEB VISION OKAYAMA

連載記事山田響子の魅力を引き出すコミュニケーション術

不適切な行動の段階を知る

 感情「で」伝えると、感情「を」伝える。その違いを分かっていただけますでしょうか。この2つはたった1文字しか違いませんが、大違いなのです。感情「で」伝えると、うまくいかないことが多くなってしまいます。感情を乗せて伝えてしまうから、うまくいかないのですね。「自分は正しく、相手は間違っている」そんなふうに伝わってしまいます(実際深層心理ではそう思っているのです)。

 自分は正しく相手は間違っている。これは「批判」です。批判は相手の気持ちを遠ざけます。たとえ相手が自分にとって不適切な行動をしているとしても、正しい、正しくないではうまくいかない。もしかすると相手は「知らない」で「困っている」人なのかもしれないのです。

 アドラー心理学の人材育成では不適切な行動の中にも段階があるといいます。「やり方を知っているのにやらない人」「やり方を知っているのにできない人」「やり方を知らないからできない人 」。私たちはそれを混同してしまいがちなのです。相手はただやり方を知らないから困っていたり、やり方を知っていてもうまくできなかったりして困っているだけなのかもしれないからです。全くアプローチが違うのがお分かりでしょうか。やり方を知らないからできない人にはティーチング的教育が必要です。やり方を知っているのにできない人はコーチング的指導が必要です。 そして一番厄介なのが「やり方を知っているのに、やらない。その適切なやり方をやろうと思ったら、できるのにやらない人」です 。

会員申し込みはこちらから

本誌:2023年3月13日号 17ページ

PAGETOP